一般財団法人 日本原子力文化財団

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財団設立の原点に返って「原子力文化」の社会への浸透・定着を目指して努力します

今から満47年前の1969年に「日本原子力文化財団」は設立され、この7月21日に創立48周年を迎えました。

1950年代から60年代にかけて日本原子力研究所、大学などで多くの研究炉が臨界を迎え、1969年には、日本初の商業用原子力発電所東海1号機が操業開始し、また原子力船「むつ」が進水しました。

まさに原子力平和利用の黎明期で、今後の原子力の平和利用には大きな期待がかけられていました。

一方、放射線は人間の五感では感知出来ません。さらに核分裂は従来の化石燃料の燃焼に比べ、桁違いに大きいエネルギーを生み出します。

原子力に期待される便益は大きいものの、使い方を誤ると大きなリスクを顕在化させる可能性のあることを片時も忘れず、常に安全に対する備えを見直してゆかねばならないということです。 原子力を単に技術として取り組むのではなく、このような信念を持って取り組まねばならないということです。今から47年前、この概念を「原子力文化」と定義し、この「原子力文化」の社会への浸透・定着を目的として、「日本原子力文化振興財団」が設立されました。

以来47年、日本の原子力利用は、医療、工業分野などでは、診断、治療、分析などの放射線利用分野で飛躍的発展を遂げ、エネルギー利用でも原子力発電が日本の電力供給の約3割を担うまでになりました。

しかし、原子力の持つリスクの制御に失敗した、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、未だに大勢の地元の方々が避難先から帰れないでいる上、発電所の後始末がつくまでには30年から40年かかるといった深刻な事態を作り出しました。

さらに、放射線の健康影響に対する不安も広く国民の間に広がりました。 その結果、社会には、原子力の安全に対する大きな不信が生まれました。

この原子力発電の持つリスクについては、東京電力福島事故の徹底的な原因の調査・検証を踏まえて、安全強化を図ることで、極力ゼロに近づけることがまず求められるのは言うまでもありません。

そして、如何に安全を強化しても絶対安全はあり得ないことも、原子力発電を利用しないリスクとの比較で、国民に受け入れられるかどうかに原子力発電の今後がかかっているのではないかと思います。

今後とも原子力を利用してゆくなら、「原子力文化」、つまり放射線の健康影響に対する正しい認識も含めて、原子力の持つ便益とリスクについての正しい認識が広く社会に浸透し定着することが欠かせないことを、今回の東京電力福島事故は改めて示したのではないでしょうか。

東京電力福島事故を間近に見ながら、満47周年を迎えた「日本原子力文化財団」は、改めて設立の原点に返って、「原子力文化」の社会への浸透、定着を目指して努力して参ります。

日本原子力文化財団 理事長
伊藤隆彦




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