和歌山大学 和歌山県和歌山市
開催日:平成29年11月28日(火)
平成29年12月 5日(火)
「将来のエネルギーの選択」をテーマに、
国の政策と、企業からみるエネルギーのあり方を考える
 和歌山大学システム工学部システム工学科3回生の学生を対象に「環境経済・政策学」の2コマをいただき、資源エネルギー庁から「エネルギー政策」について、そして関西経済連合会から、「関西のエネルギーミックス実現に向けた課題、関西企業が重視するエネルギーミックス」についてご講演いただいた。
 国や経済界、それぞれの立場からのお話しを聞いていただいた後、6グループに分かれ、「日本のエネルギーの将来」をテーマに、グループごとに「3E+S」を踏まえ、2050年のエネルギーミックス案を検討し、発表を行った。
講義
平成29年11月28日(火)
日本のエネルギーは今?

資源エネルギー庁 原子力立地・核燃料サイクル産業課 原子力広報官 須山 照子 氏
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2030年度の電源構成のグラフ
 エネルギー政策の要諦は、安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性(Economic Efficiency)の向上による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)のため、最大限の取組を行うこと。エネルギーは私たちが暮らしていく上での生命線である。そして電気は、インフラ中のインフラであり、生活、産業活動の基盤であり、無くてならないものである。この「3E+S」に関する政策目標を同時達成するために、徹底した省エネや、国民負担を考慮し、再生可能エネルギーの最大限の導入や火力発電の効率化などを進めつつも2030年度の電源構成のうち20〜22%の原子力発電が必要な状況である。
 みなさんが働き盛りの50歳頃になる2050年には、日本をはじめとする世界は、80%の温室効果ガスの削減を目指すという極めて野心的な高い目標を設定している。今から、目標に向けての対応を視野に入れ、長期的なエネルギーの将来像を多面的に議論していくことが大切である。エネルギーに関する世界の潮流は、地政学上のリスクや地球温暖化対策の動向、それに伴って変化する企業の経営戦略、その背景にあるイノベーションの変化など様々な要素が複雑に絡み合っており、不確実性が多い。こうした問題を解決していくためにはまず、思考停止することなく、エネルギーの将来に向き合ってあらゆる可能性を追求し、考えていくことが重要ではないでしょうか。
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エネルギーについて関西企業が重視すること

公益社団法人 関西経済連合会 経済調査部 鍵田 智也 氏
写真 関西のエネルギーミックスの実現に向けた課題として、①低廉な電気料金の実現に向けての取組み、②再エネの大量導入による系統安定化、ベースロード電源としての原子力の着実な推進、③環境と経済の両立があげられている。
 2015年3月と2017年10月の2回に、関西経済連合会の会員企業に「エネルギーミックスの構築において最も重視すべき事項」、「国内外の競争力を考慮した電気料金の水準」などのアンケートの調査を行った。その結果、エネルギーミックスとしては、いずれのアンケート調査でも「安定供給」、「経済性」を重視する声が強く、企業別に見ると、大企業は安定供給を重視する回答が更に増えた。中小企業の場合は、経済性を重視する傾向がより鮮明となり、環境性に配慮された電力への供給を求める声が少なくなった。また、電気料金の水準としては、震災前の電力料金水準より安い料金を求める傾向は変わらなかった。
 2回の関西企業のアンケート調査結果から、安定供給、経済性のニーズが高い傾向は変わっておらず、関西経済連合会としても、バランスの良いエネルギーミックスに期待している。
終わりに

 講義後、各グループに分かれ、自からが考えるエネルギーミックスの4要素(安全性、安定供給、経済性、環境適合性)について意見交換を行った。次回までに各自で4要素についてのメリット、デメリットを考え、その上で2050年に目指す社会像や基本的な考え方、電源のエネルギーミックス(石油、LNG、石炭、原子力、水力、再エネ、その他)案を考えていただくこととなった。
ワークショップ
平成29年12月5日(火)
「日本のエネルギーの将来」を考える!

 ワークショップでは、グループごとに2050年の将来に向けて各自が考えたエネルギーミックスについて発表し、意見交換を行った。その後、4要素(安全性、安定供給、経済性、環境適合性)で思いつくことを付箋に書き留め、模造紙上に貼っていった。その後、各エネルギー源の評価、2050年に望む社会、エネルギー選択において重視した視点、その結果で得たもの、失ってしまったものなどを取りまとめ、グループ毎に2050年の具体的なエネルギーミックス(電源構成)についての発表を行った。
 グループ毎の発表では、2050年のエネルギーミックスの方向性として、化石エネルギーの割合が3~4割程度と現状よりも少なく、再生可能エネルギー(再エネ+水力)は3~6割とグループ毎にバラツキがあったが、水力発電については適地が少ないことも考慮し大方1割程度の割合構成であった。「経済性、安定供給を考慮すると、再生可能エネルギーで、多くの電源がまかなえるのか」といった意見があった一方で、「技術革新により低コスト化、安定供給に期待をよせる」という意見もあった。「3E+S」のうち、「安定供給」と「経済性」を優先するグループでは、原子力を3割とする案もあった一方、「安全」と「環境」を優先するグループが、「安定供給」と「経済性」をあきらめて、再エネを5割とし、脱原子力を目指す案もあった。 その他に、「私たちの生活の中で取り組める省エネルギーの推進」や、「将来に向けて期待されるメタンハイドレード、水素活用、再生可能エネルギーのコスト負担を抑えるためにも地産地消で再生可能エネルギーの導入拡大を」との発表もあった。
 総論的に、2050年に向けて、技術面、地政学的な面など不確実性が多い中で、「バランス良くエネルギーミックスを取りまとめることがいかに難しいか」、「豊かさとリスクを見極めるために、何に価値を見いだすかを考えないといけない。その中で、まずは現状の日本エネルギー問題についての関心をもっていくことが必要だ」との意見も挙げられた。
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写真 最後に、本開催にご協力いただいた和歌山大学システム工学部システム工学科の山本准教授からは、「各グループの発表では、「3E+S」のうち、何かを捨てて、何かを選択する、といったコメントが多くあったが、現実の社会はそうはいかない」と、いずれの要素も捨てることはできないので、どうバランスを取っていくかを考えることの重要性を説いて総括した。
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