本ページでは、原子力発電所の新しい規制基準とこれに対応する安全対策について、解説していきます。
東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故では、東日本大震災による津波によって非常用を含むすべての電源が使用できなくなり、原子炉を冷却する機能を喪失、その結果、炉心損傷や水素爆発などのシビアアクシデントが起こり、環境へ大量の放射性物質が放出されました。
こうした事故の教訓や知見を反映するため、平成25年7月8日に、原子力規制委員会による原子力発電所の新しい規制基準が施行されました。
原子力発電所をもつ事業者では、新規制基準に対応することはもとより、さらなる安全対策を進めており、原子力規制委員会による審査も始まっています。
本ページでは、新規制基準とこれに対応する安全対策について、解説していきます。
Aをクリックすると、PDFで詳しい解説が表示されます。
- 12.再稼働までに事業者が行う手続きは? [NEW!]
- 安全対策の変更やそのための工事計画、保安などについて申請書を提出し、原子力規制委員会の審査や検査を受けます。
- 13.「特定重大事故等対処施設」は、どんなもの? [NEW!]
- 故意による大型航空機の衝突やその他のテロリズムなどを想定して、原子力発電所の安全を確保するための施設です。
- 14.原子力発電所の運転期間が「原則40年、延長も可能」となったけど、延長して安全性は大丈夫? [NEW!]
- 従来から「高経年化対策」による機器の交換などが行われており、さらに運転期間を延長するには、厳しい審査に合格する必要があります。
- 2.新規制基準のポイントは、どんなこと?
- 地震や津波への対策が強化され、炉心の損傷などシビアアクシデントへの対策も規制の対象となりました。
- 3.新規制基準は、原子力発電所で行う安全対策を定めているの?
- 新規制基準は、必要な「性能」を規定して、要求するものです。それぞれの原子力発電所での対策は、各事業者が選択します。
- 4.原子力発電所では、どのような安全対策が進められているの?
- 巨大な津波に襲われても浸水を防ぐための対策や、浸水があっても電源や冷却機能を確保するための対策などが進められています。
- 5.耐震設計のもとになる地震の揺れは、どうやって決めているの?
- 原子力発電所の敷地ごとに、震源を特定した地震に加え電源を特定しない地震も考慮して、基準地震動を策定しています。
- 6.新たに規制で求めている基準津波は、どうやって決めているの?
- 地震による津波や地震以外の要因で発生する津波をすべて検討して、もっとも規模が大きいものを基準津波として策定しています。
- 7.浸水を防ぐために、原子力発電所ではどのような対策が進められているの?
- 安全上重要な機器の機能を維持できるよう、防潮堤や防潮壁の設置、建屋の水密化などが進められています。
- 8.津波対策として、原子力発電所によって防潮堤や防波壁の高さが違うのは、なぜ?
- 原子力発電所ごとに、想定される最大規模の津波や敷地の高さなどに応じて、もっとも適切な津波対策が検討されています。
- 9.断層(破砕帯)か活断層かを、どうやって判断するの?
- 地形学や地質学、地球物理学など、さまざまな観点から調査を行い、総合的に判断することが必要です。
- 10.電源を確保するために、原子力発電所ではどのような対策が進められているの?
- 長時間の電源喪失を防ぐため、多重化・多様化された代替電源の設置が進められています。
- 11.安定して冷却するために、原子力発電所ではどのような対策が進められているの?
- 原子炉や使用済燃料プールなどの冷却機能を確保するため、ポンプや水源の多重化・多様化などが進められています。
原子力発電所の「規制基準」を読み解く
〜東京電力・福島第一原子力発電所事故の教訓を生かして〜
2011年3月の東京電力・福島第一原子力発電所事故を踏まえて、2012年9月に原子力規制委員会が発足し、2013年7月には事故の教訓を生かして原子力発電所の新たな規制基準が施行されました。この「新規制基準」について、山口彰・大阪大学大学院工学系研究科教授の解説により、分かりやすく紹介しています。
企画・制作 (一財)日本原子力文化財団
監修・解説 山口 彰氏(大阪大学大学院工学系研究科教授)
- 1.オープニング~地震発生と事故のあらまし(3:28)
- 2.各事故調査委員会の報告書概要(5:47)
- 3.原子力発電所の新規制基準とは(14:42)
全部見る(24:00)