原子力文化2019年12月号 ルポ(抜粋)

水月湖はなぜ世界標準になったのか
― 年縞+放射性炭素で地球を調べる ―

福井県の嶺南地方にある三方五湖は、若狭湾国定公園の中にあり、日本国指定名勝にもなっています。
さらには「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群」として日本遺産、伝統漁法などが評価されて日本農業遺産と、さまざまな認定を受けています。
国際的にも2005年には、ラムサール条約、つまり「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」にも登録されています。 このように数々の高い評価を得ている三方五湖の一つ、水月湖は、湖底に一年に一枚ずつつくられる地層―― これを「年縞」と呼びます ――の研究で、2012年には、考古学や地質学の年代測定における「世界標準のものさし」として認定されました。
そもそも年縞とはどのようなものなのでしょう。そして、どうして水月湖の年縞が世界標準になるのでしょうか。
その疑問を解こうと、福井県の若狭地方へ旅しました。




足元からぬくもりが伝わってくる。
ここ、天空のテラスと呼ばれる梅丈岳の山頂公園には、足湯が整えられ旅人の憩う場所となっている。
空は一点の雲もなく晴れ渡っているが、遠くの山々には秋霞がかかっている。
ススキの穂が、時折、揺れる。
眼下には一面に湖が広がる。
「一番近くが水月湖、その向こうが三方湖、水月湖の先、左にある小さいのが菅湖です」
ガイドさんが、連れてきた団体さんに説明している。
湖面はべた凪の様相を見せている。
三方五湖と反対側に目を転ずれば、茫洋と霞む日本海に船が一つ、二つ。
山頂まではケーブルカーで登って来たが、帰りは一人乗りのリフトで降ることにする。
微風にそよぐように降りていけば、左に海が大きくなって迫る。海は岸沿いのライトグリーンから、沖合の紺碧へと色合いを変えつつ広がっている。


 

(一部 抜粋)





2019年12月号 目次

風のように鳥のように(第120回)
頭にも神経痛?/岸本葉子(エッセイスト)

ルポ
水月湖はなぜ世界標準になったのか
◇編集部が選ぶオフショット in 若狭地方

追跡原子力
◇台湾の学生が脱・脱原発を訴え国民投票を実現

中東万華鏡(第45回)
ピスタチオの話/保坂修司(一般財団法人日本エネルギー経済研究所 研究理事・中東研究センター 副センター長)

おもろいでっせ!モノづくり(第84回)
天寿全うまで健康な社会を実現しましょう/青木豊彦(株式会社アオキ取締役会長)

ドイツでは、今(第18回)
ドイツ人とユダヤ人の複雑な関係/川口マーン惠美(作家)

温新知故(第9回)
『去年マリエンバートで』=映画も!?/斉藤孝次(科学ジャーナリスト)

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