一般財団法人 日本原子力文化財団

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vol.32(2023/8/23)

21世紀の今・求められる原子力発電


<荒々しくなってきている気象>

今年の夏は暑い!
それも、全国的に暑いようです。昔からこんなに暑かっただろうかと思わざるを得ません。熱中症で病院に運ばれる人も今年は例年に比べて一段と多いようです。
八月中旬に来た台風7号も鳥取地方で豪雨を降らせ、大きな被害をもたらしました。気象が荒々しくなって来ています。
自然災害による経済的損害額も相当な額に及んでいるに違いありません。
実は、気象や身の回りの自然がこうなることを予測していた人が二人います。


<2006年のスターン・レビュー>

1人は英国人で世界銀行のチーフ・エコノミストを務めたニコラス・スターン博士です。博士は日本にも来られて在日英国大使館で講演をされています。
スターン博士はコンピューターを駆使して気候変動の影響を試算し、レビューを書いています。レビューはブレア首相に報告されました。2006年のことです。
スターン・レビューの要点を環境省のWebsiteから引用します。
 「温暖化が進み大気温度が上がると
  ★生態系の大多数は現状維持が不可能になる
  ★暴風雨・林野火災・干魃・洪水・熱波の強度の増加
  などが多くなる」
と言っています。


<対策として原子力発電を主張するビル・ゲイツ>

もう一人はマイクロソフト創設者のビル・ゲイツさんです。
ビル・ゲイツさんは、温暖化対策として原子力発電を挙げています。
2021年6月のアメリカNEI(原子力エネルギー会議)の年次総会での挨拶の中での言葉です。
「エネルギー貧困と気候変動問題という二大脅威への対応策は先進的原子力発電に他ならない。原子力発電は 昼も夜も、季節を問わず、 地球のどこででも発電できる唯一のカーボン・フリー電源である」


<信頼回復が課題であり続ける日本>

現在、ヨーロッパでは気候変動対策として原子力発電が見直されている上に、ロシアのウクライナへの一方的な軍事侵攻の影響もあり、一部の国では原子力発電開発を進めようとしています。
日本では岸田政権が11年ぶりに原子力開発推進を打ち出しました。
原子力に追い風が吹き始めています。
しかし、日本では福島原子力発電の事故の影響がまだまだ残っており、原子力発電を進めるには、やはり一般の皆さんからの信頼回復が課題です。
何といっても、既存の原子力発電所を安全・確実に動かして、原子力発電の良いところを現実に示して、一般の方々の理解をいただくことではないでしょうか。


理事長 桝本 晃章



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