一般財団法人 日本原子力文化財団

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vol.26(2022/11/29)

三倍増の原子力発電開発構想を打ち出したインド


<2023年、世界一の人口大国になるインド>

2022 年 11 月 15 日、世界の総人口は80 億人を超えました。
世界の人口大国は、言うまでもなく中国とインドです。
国連によれば、インドの人口は来年2023年7月には、14.28億人になり中国を追い抜きます。これは、世界全体で見ると100人に17、18人がインドの人になるということです。
そして、インドでは、これからも人口増加が続くでしょう。


<今はまだ貧しいインド>

一方、インドは、世界各国の中ではまだまだ貧しい国です。
豊かさの度合いを“国民一人当たりの年間国内総生産額:GDP(世界銀行、平価調整済、2021年)”で見ると7,333㌦/年で、190か国を超す世界の国々の中で127番目です。
ちなみに、中・米・日の人口一人当たりGDPは、次の通りです。
中国:19,338㌦/年、米国:69,278㌦/年、日本:42,940㌦/年。



出典:原子力・エネルギー図面集


<経済成長しエネルギー需要も二酸化炭素排出も増えるインド>

このように見てきますと、インドはまだまだ経済成長を続けるに違いないと感じます。当然、エネルギー消費も増えます。そして、エネルギー起源の二酸化炭素の排出も増えるに違いありません。
インドの現在のエネルギー起源CO2の年間排出量を見ますと総排出量25.3億㌧で、世界全体の総排出量の7%を占めています。しかし、インドの国民一人当たりの年間CO2排出量は1.8㌧とまだまだ小さいのが現実です(2019年実績)。
同じ人口一人当たりの排出量を、人口が大きい三か国について見ると、中国:7.6㌧、米国:14.7㌧、日本:8.5㌧となっています。
参考に、発電を原子力発電に大きく頼っている二つの国を見てみましょう。フランスは4.5㌧/年、ウクライナは3.9㌧/年です。念のためですが、ロシアは、11.8㌧/年です。(世界銀行2019年実績)


出典:原子力・エネルギー図面集



<打ち出された原子力発電開発三倍増構想>

実は、インドはこの11月上旬にエジプトで開催された国連の気候変動に関する会議:COP27で、現在の原子力発電容量を三倍にするという挑戦的な原子力発電開発構想を公表しました。
インドが現在保有する原子力発電所は、稼働中:22基合計容量679.5万KW、建設中:8基600万KWです。 いうまでもなく、経済成長をするには電力が必要です。インドは増加する電力需要に応えると同時に“脱炭素”も実現しようとしているのです。



<2070年までにカーボン・ニュートラル実現を目指すインド>

昨年英国で開催されたCOP26で、インドのモデイ首相はカーボン・ニュートラルの達成目標年次を2070年にすると述べています。
”インドは、原子力発電によって、増加する電力需要を満たす一方、着実に脱炭素を進めようとしているのです。
有言実行!”
インドに敬意を表します。

理事長 桝本 晃章



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