活動レポート
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 ASLE-Japan/文学・環境学会(石川県)
  • 実施日
    • 平成29年5月28日(日)
        勉強会(石川県金沢市)
  • 参加者
    • 14人


  • 実施目的
      環境の問題を文学的見地から研究・議論する当学会にとって、核の問題はきわめて関心の高いテーマです。福島やチェルノブイリの原発事故の問題を「表象」という観点から分析する研究は個々の会員の研究や学会の活動において深められていますが、原発や核の問題の「いま」に関する知見は十分ではありません。そこでこの機会に、実際に存在する放射性廃棄物の現状と処分をめぐる議論、国外の実例などを学び、原発問題の「実態」に関する知識を深め、現実を見据えた形で、専門とする表象研究の深化を目指したいと考えています。
      また、会員の多くは大学教員や大学院生であり、地層処分に関して得られた知識を教育や研究の場でクリティカルに活かしていきたいと考えています。
  • 実施内容  
      ASLE-Japan/文学・環境学会例会として、「放射性廃棄物の地層処分に関する勉強会」を開催した。
  • 活動の成果
      勉強会の前に、まずは学会のメーリングリストを通して、原発をめぐる問題に関しては賛否両論に分裂するが「原発のゴミ」の問題は賛成・反対という壁を取り払って取り組まねばならない問題であり、そのために勉強会を企画した旨を会員に伝えた。当初参加を表明した人数を超える参加があったのは、高レベル放射性廃棄物の処分に対する責任を個々人が認識したことによるのではないかと思う。その点は、「他人事ではない」という表現がアンケートの感想に多く見られたということにもうかがえる。
      昨年は別の団体が企画した勉強会と瑞浪施設見学に参加して、上述の賛成・反対を超えた問題への取り組みの重要性を認識したので、こうした認識の連鎖を広げていくことで原発関連問題に多角的に向き合う人が増えたことに意義を感じている。地道で時間のかかることではあるが、人から人につなぐ連鎖は、情報伝達と異なり、人の認識に深く働きかけることから、長期的かつ持続的に問題に取り組むという効果が期待できる。
  • 参加者のこえ
    • 今まで思っていた以上に、他人事だととらえてはいけない課題であるという事実を改めて考えることができた。
    • あまり放射性物質に関する知識がなく、ウランを使った原子力発電の仕組みはあまり理解できなかったが、地質のことやガラスの特性を使った処分技術など、どのような利点があるかという点が勉強になった。
    • 地層処分についての理解が深まった。将来の子、孫の世代のことを考えると他人事ではないから、もっと知りたいと思った。
    • 現在解決できていない問題を次の世代、その次の世代に残すことは、不公平ではないでしょうか。
    • 断層の影響を懸念していたが、勉強会後に質問して理解した。
    • 予備的知識がない状態で参加したが、わかりやすかった。
       
    • 他に、本学会には文学をはじめとする人文学分野の研究者が多いことから、地層処分の議論にはそもそも原発のゴミを排出している現代社会のあり方を反省的に捉ええるということが欠落しているのではないかという人文学的問いが投げかけられた。