財団紹介

ごあいさつ

石油ショックからおよそ半世紀が経過し、“エネルギー”が時にあらわす厳しさが、多くの皆さんの記憶から薄れています。記憶に残っているのは、2011年の東日本大震災時の巨大津波によって引き金が引かれた福島第一原子力発電所事故でしょう。そうした状況にある今、2022年2月24日、突然、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まりました。歴史に残る大事件の始まりです。世界は、今もその真っただ中にあります。
(一財)日本原子力文化財団
理事長 桝本 晃章
<ロシア・ショック>
ロシアは、天然ガス・石炭・石油などエネルギー資源を国内に大量に埋蔵する大エネルギー資源国です。日本も天然ガスをLNG(液化天然ガス)として輸入するほか、石炭も輸入しています。
今回のロシアの隣国ウクライナへの軍事侵攻に直面して、天然ガスをはじめとしてエネルギー供給の多くをロシアに頼ってきたヨーロッパの国々は、その調達先をロシアから他の地域に変更しようとしています。国際エネルギー機関:IEAは、“ロシアの天然ガス依存を低減する方法(10プラン)”という案を提案しました。加えて、2014年のロシアのクリミア半島への軍事侵攻・領土の割譲に対する経済制裁に加えて、更なる経済制裁も始められています。

<再評価される準国産エネルギー源としての原子力発電>
ヨーロッパの国々は、今回の事件に直面して、エネルギー・ミックスの在り方を改めて考え直しています。エネルギー供給において、自国の自立性を如何に確保するかを再考しているのです。結果的に、原子力発電の準国産発電源としての特質が再評価され、幾つかの国々で原子力開発推進が選択され始めています。IEAも前述の提案の中で“原子力発電の活用”をうたっています。
何といっても、21世紀のエネルギーのトレンドは、“電化”と“脱炭素”です。原子力発電の場合、安全確保が最優先の重要事項であることは言うまでもありませんが、原子力発電は再生可能エネルギ-と並んで21世紀の最適なエネルギー源なのです。

<日本:原子力発電活用へと転換>
日本では、2022年6月7日に閣議決定された、政府の骨太方針(「経済財政運営と改革の基本方針2022新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」)で、原子力発電について、これまでの方針が改められ、推進へと舵が切られました。ちなみに、岸田首相は、出演したテレビ番組で、“100万kWの原子力発電所を動かせば、100万㌧のLNGを生み出せる”と発言し、原子力発電の重要さを強調されています。

<目指される使用済原子燃料再処理事業竣工>
現在、青森県六ケ所村の再処理工場はしゅん工に向けて進められていて、日本は、原子力開発の各面で、改めて動き出そうとしています。
こうした事々を着実に進め、実現するためには、第一に、諸事業における安全確保が欠かせません。
そして、原子力発電や原子燃料サイクルについて一般の皆さんにご理解とご支援をいただかなくてはなりません。
関係者の謙虚で、社会一般の皆さんに寄り添った、たゆまぬ努力が求められています。

<地道な活動を続ける日本原子力文化財団>
日本原子力文化財団は、これまで築き上げてきた全国各地の色々な方々とのネットワークを生かし、地を這う仕事をして、微力ながら、こうした動きに役立つよう、努めてまいります。

皆さま。ご理解、ご協力、ご支持をお願い申し上げます。

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