原子力文化2016年10月号 インタビュー(抜粋)
明日話したくなる、おもしろ経済学
― 一番モチベーションが上がる曜日、時間帯に集中して仕事をすると年収アップにつながる!? ―
60歳から死ぬまで安心して生活できるには、どのくらい必要なの?、女性が一週間の中で一番モチベーションが高い日は? など、時には自ら計算したデータ結果から、「経済学」について語られる門倉貴史さん。本誌では、暮らしのなかの身近な事例を用いた経済学や、BRICsの経済やエネルギーについてお話を伺いました。
門倉 貴史 氏 (かどくら・たかし)
1971年 神奈川県生まれ。BRICs経済研究所・代表、経済評論家、同志社大学非常勤講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、浜銀総合研究所入社。日本経済研究センター、東南アジア研究所(シンガポール)などへ出向。その後、第一生命経済研究所経済調査部主任エコノミストを経て、現在に。明石家さんまが司会を務める「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)で準レギュラーとして出演、女性層の人気が高い。『オトナの経済学』『不倫経済学』『必ず誰かに話したくなる経済学』など著書多数。
―― 「経済学」の講演会というと敬遠しがちですが、女性層向けにお話をされることもあるのですか。
主婦層向けですと、ウーマノミクスの政策に関連して、女性の社会進出が他国に比べてどのくらい遅れているか、日本では将来的に労働力不足となるので、女性を活用することで労働力不足がかなり解消される、というような話をします。
それから、主婦の節約術のようなお話もします。
受けがいいのは、一日三食カレーのような節約レシピですね。
あと、皆さん将来に不安をもっています。今、平均寿命がどんどん伸びてきていて、退職した60歳の時点でどれくらい金融資産があれば死ぬまで安心してゆとりのある生活ができるか、シミュレーションして数字で出すのですが、その結果に皆さんけっこう衝撃を受けて、「こんなの絶対無理」という話になります。
―― どのくらいの額が必要なのですか。
寿命をどこにおくか、現実のシニア層が毎月どれくらい消費しているかを基準に考えるのか、それとも理想としてシニアになってから、いくらくらい使いたいのかというところから計算していくかでも変わってきます。
それから医療保険や介護保険ですね。身体が不自由になったときに医療でどれくらいかかるかなど、そこを慎重に見ていくと、一億円くらいないと厳しいかなと……。
―― それは何歳まで生きるとして。
90歳です。医療保険や介護の不安をあまり考えなければ、7000万円くらいです。現実のシニアのライフスタイルから考えると、4000万円くらいでいいのですが、現役世代の方は老後を夫婦二人で月36万円くらい使いたいと言ってらっしゃるので……。でも、月36万円は相当ぜいたくだと思います。
今、不思議な現象が起きていて、年収が1000万円以上あるにもかかわらず、貯金が全くないという方がすごく増えています。結局、年収1000万円がハイソサエティの境目になっているようで、年収1000万円を超えると、子どもは私立の中学に入れる、食事もセレブが行くレストランに行くようになるなど、見栄の消費をされるようになるので、カツカツになってしまうようです。
(一部 抜粋)
2016年10月号 目次
風のように鳥のように(第82回)
ネットで、電話で?/岸本葉子(エッセイスト)
インタビュー
明日話したくなる、おもしろ経済学/門倉貴史(エコノミスト)
特集
1.若冲描く鳳凰の白がネイルアートに
2.ルポ・柏崎って、どんなところ?
3.食品の安全はどう守られているの?
中東万華鏡(第7回)
文明の衝突に翻弄される中東の女性たち/保坂修司(一般財団法人日本エネルギー経済研究所 研究理事・中東研究センター 副センター長)
おもろいでっせ!モノづくり(第46回)
お互いに尊敬の念を持たにゃいけません/青木豊彦(株式会社アオキ取締役会長)
笑いは万薬の長(第27回)
卵子と精子/宇野賀津子(公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センターインターフェロン・生体防御研究室長)
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