月刊誌 原子力文化 インタビュー

原子力文化2022年6月号 インタビュー(抜粋)

原子力に関する世論の状況
― 継続調査から見えてくる原子力への考え方 ―

日本原子力文化財団では二〇〇六年度から「原子力に関する世論調査」を実施しており、二〇二一年一〇月の調査で一五回目となりました。 本調査に二〇一二年度から協力いただいている木村浩さんに、世論の経年変化から見る原子力利用や再稼働、今後の原子力の展望について、調査結果をもとにお話を伺います。

木村学習コンサルタンツ 代表
木村 浩  氏 (きむら・ひろし)

2003年 東京大学大学院博士課程修了。博士(工学)。その後、東京大学講師・准教授、NPOパブリック・アウトリーチなどを経て、現在、木村学習コンサルタンツ代表。東京大学・上智大学の非常勤講師も務める。専門領域は、リスクコミュニケーションや社会調査など。原子力・エネルギー問題と社会との関わりについて造詣が深い。

―― 原子力発電の利用に対する考え方については、どのような変動が見られますか。

この世論調査では、二〇一四年から「今後日本は、原子力発電をどのように利用していけばよいと思いますか」という質問項目で調査をしています。その質問に対して一番多い回答は「原子力発電をしばらく利用するが、徐々に廃止していくべきだ」です。これが五割前後でずっと推移しています。
東日本大震災後にマスメディア等でよく行なわれた原子力に関する社会調査では、「利用・廃止」という二項対立で意見を聞くスタイルのものが多く、その場合は、当然「廃止」側の意見の方が強く表れることになりました。
しかし、その内実は少し異なると感じています。
多くの人たちは、原子力というものに対して「廃止しなければいけない」というようなことではなくて、「今あるものは利用してもよいのではないか。そのうち新たに有力な発電方法が出てくれば、徐々にそちらへバトンタッチしていきたい」と思っているのでしょう。
また、ここ最近の大きな変化として、「即時廃止」が七・五%まで減ってきています。
五年ほど前までは、この意見は、今の倍くらいありました。「とにかく今すぐ脱原発したい」という声は、ここ数年でずいぶん減ってきたと感じています。全体として、原子力に対する考え方は穏やかになってきた、と言えるのではないでしょうか。
なお、「即時廃止」という層は、年代が若くなるほど回答が少ないという傾向があります。二四歳以下では、「即時廃止」の意見は、二・六%に留まります。逆に、「増加」、「震災前維持」のような意見は若い人ほど増えます。たとえば、二四歳以下ではこれらの意見が二割を超えます。このように、若い世代で原子力の利用に積極的な意見が芽生えてきているのではないかと思います。

 

 

(一部 抜粋)





2022年6月号 目次

風のように鳥のように(第150回)
話が合う若者/岸本葉子(エッセイスト)

インタビュー
原子力に関する世論の状況/木村浩(木村学習コンサルタンツ代表)

世界を見渡せば(第18回)
イーロン・マスクがツイッターを買収する理由/関 美和(翻訳家・杏林大学外国語学部准教授)

追跡放射線
宇宙は熱く激しい現象に満ちている/馬場彩(東京大学大学院理学系研究科准教授)

中東万華鏡(第75回)
オオイヌノフグリ/保坂修司(一般財団法人日本エネルギー経済研究所 理事・中東研究センター長)

おもろいでっせ!モノづくり(第114回)
四半期報告書の廃止が走りになれば/青木豊彦(株式会社アオキ取締役会長)

ドイツでは、今(第48回)
国益を損ねる両国のエネルギー政策/川口マーン惠美(作家)

温新知故(第39回)
考古科学が埋める津波古代史料の空白/斉藤孝次 (科学ジャーナリスト)

交差点


 

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