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INTRODUCTION

本冊子では、日本のエネルギー事情や原子力政策、原子力利用の現状とイノベーション、放射線防護、原子力施設の規制や安全性向上対策、原子力防災などを総合的に紹介しています。さらに、原子力を巡る最新情報についても取り上げています。
原子力の学習や研修会などで本冊子を活用していただければ幸いです。なお、この冊子の改訂にあたっては、下記の専門家に監修いただきました。

2021年12月
一般財団法人 日本原子力文化財団

監修者からのメッセージ

全編

2020年の年末から2021年の年明けにかけて、強い寒気の影響もあり電力需要が大幅に増加、1月8日には老朽火力も含めてあらゆる発電所をフル稼働させてようやく予備率3%を確保するという事態に至りました。2021年は電力供給の危機に始まったと言っても過言ではありません。電力の安定供給の難しさ、レジリエンスの重要性が再認識されたのではないでしょうか。また、新型コロナウイルス、COVID-19の影響も引き続き社会に暗い影を落としました。リモートワークやデジタル化といったライフスタイルの大きな変革を余儀なくされました。2050年にカーボンニュートラルを実現するという目標が示され、こうした状況の中、10月に第6次エネルギー基本計画が策定されました。
原子力については、安全性を全てに優先させるとの前提のもと、原子力発電の再稼働を進めるとともに、長期運転を進めていく上での諸課題に取り組むとしました。それに先立つ6月、関西電力(株)美浜発電所3号機が40年を超える原子力発電所として初の再稼働を果たしたことは、長期にわたって持続的に原子力を活用する時代の始まりを示唆するものです。また、国際連携を活用した高速炉開発の着実な推進、小型モジュール炉技術の国際連携による実証、高温ガス炉における水素製造にかかる要素技術の確立等を進めることが示されました。高温工学試験研究炉HTTRの運転再開や、もんじゅ跡地の試験研究炉計画が提示されるなど、原子力イノベーションに向けた新たな動きもありました。6月にグリーン成長戦略が策定され、原子力の果たす役割はますます重要性を増していることは確実です。
いよいよ、エネルギー政策と環境政策を融和させるという新しいチャレンジが始まります。原子力総合パンフレット2021年度版では、大きく変化しつつあるエネルギー・環境政策に対する原子力の貢献をわかりやすく、的確にお伝えするため、主な原子力の出来事のページを拡充しました。あわせてエネルギーミックスや原子力政策に関する記載を充実させ、エネルギー政策の課題と方向性を詳しく解説しました。本冊子をお読みいただくと、原子力に取り組む意義と、豊かで持続可能な社会の実現に対する原子力の貢献がお分かりいただけると思います。全編の監修者として、原子力総合パンフレットをみなさまにお届けできたことは大きな喜びです。原子力についての理解活動に本冊子が役立つことを期待してやみません。

山口 彰 東京大学大学院工学系研究科 原子力専攻 教授

山口 彰
東京大学大学院工学系研究科 原子力専攻 教授

1章「日本のエネルギー事情と原子力政策」

脱炭素化に向かう世界では電力化の進展が不可欠であり、それだけ電力の重要性が増していきます。その重要な電力について、ゼロエミッション化を進めつつ、安定供給を確保することが全ての国の課題となります。まさにその時、日本、テキサス、欧州などで電力需給ひっ迫と価格高騰が発生したのが2021年でした。今後、日本も今回の価格高騰の教訓などを踏まえつつ、電源構成の、そしてエネルギー全体のベストミックスを図っていく必要があります。その世界的な潮流の中で、安定的な脱炭素電源としての原子力の役割に対して、フランス・EUや米国などで再び関心が集まっていることに注目していく必要があるでしょう。

小山 堅 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員

小山 堅
一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員

2021年は、6月に「2050年カーボンニュートラルにともなうグリーン成長戦略」が改訂され、9月に「2030年におけるエネルギー需給の見通し」が発行され、10月には「第6次エネルギー基本計画」が閣議決定されるなど、日本の長期エネルギー政策の基本方針に関わる重要な政府文書が次々に発表された年です。2030年度に2013年度比で46%の温室効果ガス排出量削減、2050年には実質ゼロとする野心的な目標達成のため、原子力を含むありとあらゆるゼロカーボン技術分野において今から取り組むべきことを明確にした文書であり、関連する産業界関係者にその意義と内容が広く周知されることが期待されます。

村上 朋子 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 戦略研究ユニット 原子力グループグループマネージャー 研究主幹

村上 朋子
一般財団法人 日本エネルギー経済研究所
戦略研究ユニット 原子力グループグループマネージャー 研究主幹

3章「放射線と放射線防護」

これまでこの章では、放射線や放射性物質の性質、人体への影響とそのメカニズム、放射線から身を守るための注意点などについて解説してきました。今回の改訂では、放射線の有益な側面にも光を当てたいと考えました。たとえば、放射線は細胞のDNAに傷をつけることによって発がんの原因となりますが、その一方でがんの治療にも用いられています。このように放射線がさまざまな分野でどのように活用されているかについて、この章の最初のページで写真なども使ってまとめています。放射線のリスクとベネフィットの両方を理解して、放射線との向き合い方を考える一助となれば幸いです。

松本 義久 東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所 准教授

松本 義久
東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所 准教授

5章「原子力防災」

放射線防護における線量限度の考え方に関して「線量参考レベルとコミュニケーション」として、年間20ミリシーベルトの考え方と個人被ばく線量をモニターしながらコミュニケーションをする際のヒントを掲載しました。普段、どの程度の被ばくをしているかを予め知っておき、事故の状況下で慌てずに「できるだけ余計な被ばくをしない」ことを意識することが重要です。事故の際の放射線量の状況が住民の手元に届くようにしておき、普段の放射線量に照らして、換気などの対策ができるように準備、啓発していくヒントとして「コロナ禍における屋内退避の考え方」を追記しました。東日本大震災から10年が経過し新しく定められた原子力災害対策をいかに浸透させていくかが今後の課題です。

安田 仲宏 福井大学 附属国際原子力工学研究所 教授

安田 仲宏
福井大学 附属国際原子力工学研究所 教授

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日本のエネルギー選択の歴史と原子力

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エネルギーミックスの重要性

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日本のエネルギー政策〜各電源の位置づけと特徴〜

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〜各電源の位置づけと特徴〜

日本のエネルギー政策〜2030年、2050年に向けた方針〜

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エネルギーの安定供給の確保

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エネルギーの経済効率性と価格安定

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環境への適合

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原子力の安定的な利用に向けて〜再稼働、核燃料サイクル、使用済燃料の中間貯蔵〜

原子力の安定的な利用に向けて
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国際的な原子力平和利用と核の拡散防止への貢献

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〈参考〉世界の原子力発電の状況

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原子力開発の歴史

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原子力発電のしくみ

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原子炉の種類

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原子力発電所の構成

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原子力発電の特徴

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原子力発電所の廃止措置と解体廃棄物

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核燃料サイクル

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再処理と使用済燃料の中間貯蔵

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低レベル放射性廃棄物

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原子力のイノベーション〜革新的な原子力技術への挑戦〜

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放射線と放射能の性質

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被ばくと健康影響

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外部被ばくと内部被ばく

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放射線被ばくによるリスク低減とモニタリング

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原子力発電所の規制と検査制度

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原子力発電所の地震の揺れや津波・浸水への対策

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自然現象や重大事故への対策

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原子力施設のさらなる安全性向上に向けた対策

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自主的・継続的な安全性向上への取り組み

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原子力防災の概要

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原子力災害対策と緊急事態の区分

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初期対応段階での防護措置

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原子力施設と法律

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原子力損害の賠償

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