原子力総合パンフレット Web版

3章 放射線と放射線防護

身のまわりの放射線

地球の空気や大地、食べ物、飲み物などの中にさまざまな放射性物質が存在し、
私たちは、常に自然の放射線を受けながら生活しています。

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身のまわりにある放射線

放射線は、目には見えず、においもなく、音もありませんが、私たちの身のまわりに存在しています。大地や空気、食べ物や飲み物に含まれる放射性物質から放射線が出ています。さらに、宇宙からも常に放射線が降り注いでいます。日本人は、1年間に一人あたり平均約2.1ミリシーベルトの放射線を受けています。

一人あたりの自然放射線の内訳

〈一人あたりの自然放射線の内訳〉

出典:(公財)原子力安全研究協会「新版生活環境放射線(2011年)」より作成

地球が誕生した約46億年前から放射性物質は存在し、大地の中に含まれる自然の放射性物質から放射線が出ています。大地からの放射線の量は、地域によって差があります。例えば、関西地方は、比較的多くの放射性物質を含む花崗岩が分布しているため、関東地方より放射線量が2~3割高くなっています。

全国の放射線モニタリング情報

原子力規制委員会のホームページで、国内の空間放射線モニタリング結果を確認することができます。
https://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/

※モニタリング…放射線の量や放射性物質の濃度を連続的に、または、一定の頻度で測定し、監視すること(原子力施設での放射線や放射性物質の管理 放射線や放射性物質を監視するモニタリング 参照

空気や食べ物、飲み物の中にも、自然の放射性物質が含まれています。主なものは、カリウム40という放射性物質で、自然界にあるカリウムには、必ず0.012%含まれています。カリウムは、私たちの体に欠かせない栄養素であり、体重の約0.2%を占めています。
地球には、銀河系や太陽から放射線(宇宙線)が降り注いでいます。地球の大気や磁場にさえぎられ、地上に届く放射線の量はわずかとなりますが、高い場所の方が低い場所よりも宇宙線による被ばくが大きくなります。
例えば、飛行機などに乗ると、宇宙線による被ばくが大きくなります。また、国際宇宙ステーションなどに滞在する宇宙飛行士の被ばく量は、1日で0.5~1ミリシーベルト程度になります。
また、アメリカや旧ソ連などによる大気圏内での核実験が1950〜60年代に行われたことにより、日本の国土にも現在の約1,000〜10,000倍のセシウム137が約10年間にわたり降下していました。このような核実験などが原因で降下してくる核分裂生成物を放射性降下物(フォールアウト)といいます。
現在、50〜60歳代以上の人は、こうしたセシウム137からの放射線を受けてきましたが、それによる健康影響が出ているということはありません。
世界には、インドのケララやイランのラムサールなど、世界平均の倍以上の自然放射線を受けている地域があります。インドのケララは、砂にトリウムという放射性物質が含まれているため、大地からの放射線が多くなっています。イランのラムサールは、温泉の噴出によってたまったラジウムが原因で、大地から受ける放射線が高い地域です。この地域の住民に、これらの自然放射線による健康影響はみられていません。

体内、食物中の自然放射性物質

●体内の放射性物質の量

(体重60kgの日本人の場合)

放射線加重係数

●食物中のカリウム40の量(日本)

(単位:ベクレル/kg)

食物中のカリウム40の量(日本)

出典:(公財)原子力安全研究協会「生活環境放射線データに関する研究(1983年)」より作成

関連情報(詳細):日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

ワンポイント情報

単位の前につく接頭辞「ミリ」、「マイクロ」

ミリは、長さの単位であるメートルの前につくミリと同じく、1,000分の1を表します。同じように、マイクロは、ミリの1,000分の1を表します。したがって、1マイクロシーベルトの1,000倍が1ミリシーベルト、1ミリシーベルトの1,000倍が1シーベルトです。

0.001シーベルト=1ミリシーベルト = 1,000マイクロシーベルト

放射線被ばくの早見表

放射線被ばくの早見表
  • ※各部位に均等にガンマ線1Gyの吸収線量を全身に受けた場合、実効線量1,000mSvに相当するものとして表記
  • ※空気中吸収線量率から実効線量への換算には0.7Sv/Gyを係数として使用
  • ※電離放射線障害防止規則等の改正により、緊急作業従事期間中の放射線を取り扱う作業者の線量限度を2016年4月より250mSvに引き上げ
  • ※上記の早見表は、対数表示になっておりません

出典:UNSCEAR 2008年報告書ICRP Publication 103, 2007 (公財)原子力安全研究協会「新版生活環境放射線(2011年)」などより作成

関連情報(詳細):日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

ワンポイント情報

さまざまな分野での放射線利用

放射線には、物質を通り抜ける性質(透過性)や物質を変質させる性質があり、現代社会ではこれらの性質が医療、工業、農業など多くの分野で利用されています。
例えば、がんなどの病気の治療(放射線治療)や病気を見つけるためのレントゲン写真・CTスキャン、注射器や手術で使うメスなどの医療器具の滅菌などの医療分野で利用されています。また、自動車のタイヤの耐久性を高めたり、プラスチックの容器を熱に耐えられるようにしたり、テニスラケットのガットをボールがよく飛ぶように弾力を強くしたりするなどの工業分野、さらに農業分野でも、品種改良や害虫駆除、じゃが芋の発芽防止のための放射線照射など、広く利用されています。
医療分野の放射線利用では、治療によるメリットが被ばくによるリスクを上回るような配慮が必要です。

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