原子力総合パンフレット Web版

1章 日本のエネルギー事情と原子力政策

高レベル放射性廃棄物の適切な処分

高レベル放射性廃棄物の処分の方針に、国が前面に立って取り組みを進めるプロセスなどが 追加され、推進体制が改善されています。

高レベル放射性廃棄物の処分の方針

日本では、原子力発電で使い終えた燃料を再処理し、資源として利用できるウランやプルトニウムを取り出しています。この再処理の過程で高レベル放射性廃棄物が発生します。これを適切に処分することが重要です。
高レベル放射性廃棄物は、放射能レベルが十分低くなるまで時間がかかるため、非常に長期間にわたり人間の生活環境から遠ざけ、隔離する必要があります。最も確実な方法として、地層処分が採用されました。地層処分以外にも、宇宙処分や海洋底処分、氷床処分、長期管理などが検討されましたが、それぞれに問題点があり、地層処分が国際的に共通した最善の選択肢となっています。
地層処分の技術的な信頼性については、原子力委員会バックエンド対策専門部会で検討され、技術的に事業化は可能であることが確認されています。

処分地の選定に関しては、2000年6月に公布された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」に基づき、処分事業を行う主体として、2000年10月に「原子力発電環境整備機構(NUMO、Nuclear Waste Management Organization of Japan)」が設立されました。
処分地を選ぶ際は、文献調査、概要調査、精密調査の三段階の調査を行います。これらの調査により処分場に適している場所かどうかを確認するプロセスを設定しています。次のプロセスに進む際は、国が知事と市町村長の意見を聞き、十分に尊重することとしています。

文献調査では、公開されている文献や資料に基づいて、明らかに処分場として適切でない場所を除きます。概要調査では、地上からの調査(ボーリング調査、地表踏査、物理探査など)を行い、活断層がないことを調べ、地下水の流れやすさや岩盤の強さなどを調べます。精密調査では、調査用のトンネルを地下に建設して、処分場としての性能や安全性を総合的に評価します。
2002年12月から、全国の市町村を対象に、文献調査の公募を行ってきましたが、文献調査を実施するまでに至らなかったことから、2013年12月に、最終処分に関する政策を見直すため、最終処分関係閣僚会議が創設されました。
さらに、国の総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会放射性廃棄物ワーキンググループでも議論され、2015年5月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」が改定されました。

地層処分が選ばれた理由

地層処分は、地下300メートルより深い岩盤の中で行います。そのような地下深くの岩盤には、酸素がとても少ない、地下水の流れが1年間に数ミリメートル以下と非常に遅い、という特徴があります。したがって、酸素が少ないため金属の錆びなどモノの変化が生じにくく、地下水と一緒に流れるモノの動きも非常に遅いものになります。
このような環境は、物質を長期にわたって閉じ込めておくことに適していることから、高レベル放射性廃棄物の処分方法として地層処分が選ばれました。

地層処分が選ばれた理由

出典:原子力発電環境整備機構HPより作成

地層処分に関する取り組みの歴史

地層処分に関する取り組みの歴史

出典:原子力発電環境整備機構資料より作成

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基本方針改定のポイント

【現世代の責任】

廃棄物を発生させてきた現世代の私たちの責任として、将来の世代に負担を先送りしないように、地層処分に向けた対策を確実に進めていきます。

【将来世代の選択可能性】

基本的に可逆性(処分事業の選定のプロセスを元に戻すこと)・回収可能性(廃棄物を回収可能な状態に維持すること)を担保し、将来世代が最良の処分方法を選択可能にします。また、幅広い選択肢を確保するため、使用済燃料の直接処分以外の処分方法に関する調査研究を進めます。

【全国的な国民理解、地域理解の醸成】

最終処分事業の実現に貢献する地域に対する敬意や感謝の念、社会としての利益還元の必要性が広く国民に共有されることが重要です。また、国から自治体に対する情報提供を緊密に行い、丁寧な対話を重ねることとしています。

【国が前面に立った取り組み(新たなプロセスの追加)】

国の総合資源エネルギー調査会において、2017年7月28日、地層処分を行う場所を選ぶために考慮する必要がある科学的特性や、そうした特性の日本全国における分布の状況などを俯瞰できる「科学的特性マップ」が提示されました(地層処分の実現に向けて(「文献調査」の位置付け)参照)。

【事業に貢献する地域に対する支援】

調査地区の選定に貢献する地域に対しては、住民が参加できる「対話の場」が円滑に設置されるよう努めるとともに、地域の持続的な発展に向けた総合的な支援措置などを行っていくこととしています。文献調査の段階から電源立地地域対策交付金などを活用し、処分事業の地域共生を支援します。

【推進体制の改善など】

事業主体であるNUMOの体制を強化するとともに、原子力委員会の関与を明確化し、継続的な評価を実施していきます。原子力規制委員会は、調査の進捗に応じて、安全を確保するための事項を順次提示することとなっています。

海外における地層処分の状況

海外における地層処分の状況

※各国の進捗を、日本の地層処分事業段階に相当する位置で示しています。段階の構成・順序は各国で異なります。

※1 : サイト公募段階はなく、地質学的条件で抽出された複数の候補エリア内から絞り込む方式。

※2 : サイト公募段階はなく、廃棄物発生場所に近い複数の地域から地質学的条件で絞り込む方式。

※3 : 〔   〕は、現段階での事業の進捗を示しているものの、計画の中止などで変更がありえます。

海外における地層処分の状況

出典:資源エネルギー庁資料より作成

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