原子力総合パンフレット Web版

日本のエネルギー事情と原子力政策

高レベル放射性廃棄物の適切な処分

高レベル放射性廃棄物の処分の方針に、国が前面に立って取り組みを進めるプロセスが追加され、
2017年には日本全国の科学的特性を示すマップが国から提示されました。

高レベル放射性廃棄物の処分の方針

原子力発電で使い終えた燃料を再処理し、資源として利用できるウランやプルトニウムを取り出すことにしています。この再処理の過程で高レベル放射性廃棄物が発生します。これを適切に処分することが重要です。
高レベル放射性廃棄物は、放射能レベルが十分低くなるまで、非常に長期間にわたり人間の生活環境から遠ざけ、隔離する必要があります。最も確実な方法として、地層処分が採用されました。地層処分以外にも、宇宙処分や海洋底処分、氷床処分、長期管理などが検討されましたが、それぞれに問題点があり、地層処分が国際的に共通した最善の選択肢となっています。
地層処分の技術的な信頼性については、原子力委員会バックエンド対策専門部会で検討され、技術的に事業化は可能であることが確認されています。

処分地の選定に関しては、2000年6月に公布された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」に基づき、処分事業を行う主体として、2000年10月に「原子力発電環境整備機構(NUMO、Nuclear Waste Management Organization of Japan)」が設立されました。
処分地を選ぶ際は、文献調査、概要調査、精密調査の三段階の調査を行います。これらの調査により処分場に適している場所かどうかを確認するプロセスを設定しています。次のプロセスに進む際は、国が知事と市町村長の意見を聞き、十分に尊重することとしています。

文献調査では、公開されている文献や資料に基づいて、明らかに処分場として適切でない場所を除きます。概要調査では、地上からの調査(ボーリング調査、地表踏査、物理探査など)を行い、活断層がないことを調べ、地下水の流れやすさや岩盤の強さなどを調べます。精密調査では、調査用のトンネルを地下に建設して、処分場としての性能や安全性を総合的に評価します。
処分地の調査受け入れ自治体を2002年12月から公募してきましたが、現在まで文献調査を実施するに至っていません。
そこで、最終処分に関する政策を抜本的に見直すため、2013年12月に最終処分関係閣僚会議が創設されました。さらに、国の総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会放射性廃棄物ワーキンググループでも議論され、2015年5月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」が改定されました。

高レベル放射性廃棄物の処分方法の検討結果

高レベル放射性廃棄物の処分方法の検討結果

出典:原子力発電環境整備機構 資料より作成

関連情報(詳細):日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

地層処分に関する取り組みの歴史

地層処分に関する取り組みの歴史

出典:原子力発電環境整備機構 資料より作成

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基本方針改定のポイント

【現世代の責任】

廃棄物を発生させてきた現世代の私たちの責任として、将来の世代に負担を先送りしないように、地層処分に向けた対策を確実に進めていきます。

【将来世代の選択可能性】

基本的に可逆性(処分事業の選定のプロセスを元に戻すこと)・回収可能性(廃棄物を回収可能な状態に維持すること)を担保し、将来世代が最良の処分方法を選択可能にします。また、幅広い選択肢を確保するため、使用済燃料の直接処分以外の処分方法に関する調査研究を進めます。

【全国的な国民理解、地域理解の醸成】

最終処分事業の実現に貢献する地域に対する敬意や感謝の念、社会としての利益還元の必要性が広く国民に共有されることが重要です。
また、国から自治体に対する情報提供を緊密に行い、丁寧な対話を重ねることとしています。

【国が前面に立った取り組み(新たなプロセスの追加)】

国の総合資源エネルギー調査会において、さまざまな分野の専門家による検討が行われ、2017年7月28日、地層処分を行う場所を選ぶために考慮する必要がある科学的特性や、そうした特性の日本全国における分布の状況などを俯瞰できる「科学的特性マップ」が提示されました(地層処分の実現に向けて(科学的特性マップ)参照)。

【事業に貢献する地域に対する支援】

調査地区の選定に貢献する地域に対しては、住民が参加できる「対話の場」が円滑に設置されるよう努めるとともに、地域の持続的な発展に向けた総合的な支援措置などを行っていくこととしています。文献調査の段階から電源立地地域対策交付金などを活用し、処分事業の地域共生を支援します(文献調査:10億円/年(期間内20億円)、概要調査:20億円/(期間内70億円)。

【推進体制の改善など】

事業主体であるNUMOの体制を強化するとともに、原子力委員会の関与を明確化し、継続的な評価を実施していきます。原子力規制委員会は、調査の進捗に応じて、安全を確保するための事項を順次提示することとなっています。

専門情報:資源エネルギー庁「放射性廃棄物について」

処分地の選定プロセス

処分地の選定プロセス

※各調査段階において、地元自治体の意見を聴き、これを十分に尊重する(反対の場合は次の段階に進まない)。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 資料などより作成

関連情報(詳細):日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

ワンポイント情報

処分地を選定した国

高レベル放射性廃棄物の最終処分は、原子力を利用してきたすべての国に共通した課題です。放射性廃棄物は、発生した国内で処分することが原則であり、各国では地層処分に向けた取り組みが進められています。スウェーデンとフィンランドでは、処分施設の建設地が選定されています。

スウェーデン

処分方法

エストハンマル自治体のフォルスマルクの地下約500メートルの結晶質岩中に、原子力発電から生じる使用済燃料を再処理せず、キャニスタに封入して高レベル放射性廃棄物として直接処分する計画となっています。

選定経緯

1992年に、地層処分を実施するSKB社(スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社)は、二段階の調査を行うこととし、1993年から2000年まで、文献調査やフィージビリティ調査を行いました。フィージビリティ調査では、全国286の自治体を対象に公募が行われ、二つの自治体が応じました。環境や雇用面への影響について調べましたが、調査結果を受けて実施された住民投票で反対多数となり、調査は終了しました。その後、SKB社は六つの自治体に調査の申し入れを行い、調査を経て、次の段階に進む自治体3か所を選定しました。
2001年に、選定結果が国に承認されましたが、一つの自治体の議会で調査の受け入れが否決され、第二段階の調査は二つの自治体で行われました。2002年から2007年まで、空中物理探査やボーリング調査、環境影響調査などが行われ、2009年に、地質学的条件が有利であったフォルスマルクが処分地に選定されました。

現在の状況

2017年5月末現在、国による地層処分の許可申請の審査が行われています(2029年頃に操業開始予定)。

フィンランド

処分方法

エウラヨキ自治体のオルキルオトの地下約400〜450メートルの結晶質岩中に、原子力発電から生じる使用済燃料を再処理せず、キャニスタに封入して高レベル放射性廃棄物として直接処分する計画となっています。

選定経緯

1983年に、三段階の調査を経て処分地を選定することが決まりました。第一段階では、航空写真や地形図などの文献調査を行い、フィンランド全土から安定した基盤岩がある327か所の地域を選定し、さらに地質学的観点、人口密度や廃棄物輸送の観点から102か所に絞り込みました。第二段階では、自治体から同意を得たうえで、5か所でボーリング調査を行いました。第三段階では、より適した場所と考えられるサイトを調査し、処分場を建設・操業する場合の環境影響調査も行いました。
そして1999年に、調査を行ったポシヴァ社がオルキルオトを選定し、国に申請を行いました。2000年に、規制当局のSTUK(放射線・原子力安全センター)が、申請に肯定的な見解を示したことを受け、エウラヨキ自治体の議会は投票により、処分場受け入れの意思を表明することを決めました。2001年に、国会の承認を経て、処分地がオルキルオトに決定しました。

現在の状況

規制当局の審査を経て、2016年12月に処分場の建設を開始しました(2020年代初め頃に操業開始予定)。

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