原子力総合パンフレット Web版

6章 福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた取り組み

廃止措置を進めるための取り組み

事故で溶け落ちた燃料(燃料デブリ)や、使用済燃料プール内の燃料の取り出し、
そして汚染水対策などが進められています。

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福島第一原子力発電所の状況

2011年12月以降、原子炉を安定して100℃未満に冷却できる「冷温停止状態」が維持されており、原子炉圧力容器底部や原子炉格納容器内などの温度や水素濃度、窒素の封入量、格納容器内の放射能濃度などのパラメータが継続的に監視されています。
発電所内外の空気中の放射性物質は低い濃度で維持されています。また、発電所海域周辺の放射性セシウムの濃度は、法規制で決められた濃度限度およびWHO(World Health Organization,世界保健機関)の飲料水水質ガイドラインを大幅に下回っています。

廃炉の主な作業

  • 燃料デブリ取り出し
  • 使用済燃料プールからの燃料取り出し
  • 汚染水対策

※東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則

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燃料デブリ取り出し

1~3号機には、燃料と燃料を覆っていた金属の被覆管などが溶け、冷えて固まった「燃料デブリ」があります。原子炉建屋内は、放射線量がとても高いため、内部に入って作業することが難しい状況です。そこで、ロボットなどを活用して原子炉建屋内の除染や原子炉格納容器の破損状況の確認、燃料デブリの状態の調査が進められています。

【1号機】

炉心部に1m程度以上の大きな燃料の塊がないことや、底部に近づくほど線量が上昇する傾向が確認されました。

【2号機】

原子炉圧力容器の底部に燃料デブリと考えられる密度の高い物質が存在していることが確認され、シミュレーションとの比較評価から炉心下部および外周域にも若干の燃料が存在していると推定されています。2019年2月13日には、原子炉格納容器底部(ペデスタル底部)の推積物への接触調査が実施され、小石状の堆積物を把持して動かせること、把持できない硬い岩状の堆積物が存在する可能性があることが確認されました。また、堆積物の輪郭や大きさの推定に資する映像などが得られました。

【3号機】

原子炉圧力容器の底部に一部燃料デブリが残っている可能性があるものの、大きな塊が存在しないことや、溶融物が固化したと思われるもの、グレーチングなどの複数の落下物、堆積物が確認されています。

【今後の計画】

今後、原子炉格納容器の内部調査や燃料デブリのサンプリングで得られた情報をもとに、小規模な燃料デブリの取り出しが行われます。その後、その実績を踏まえ、段階的に大規模な燃料デブリの取り出しが進められることになります。
燃料デブリの取り出しについては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が2019年9月9日に公表した「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン2019」により、燃料デブリ取り出し方針が決められました。現在、2019年度に、1~3号機のうち、初号機の燃料デブリ取り出し方法の確定、2021年度内に、初号機の燃料デブリの取り出しを開始することを目指し、取り組みが進められています。

「燃料デブリ取り出し方針」のポイント

「燃料デブリ取り出し方針」のポイント

出典:原子力損害賠償・廃炉等支援機構

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「燃料デブリ取り出しの状況」

1〜4号機の状況(2019年11月28日時点)

1〜4号機の状況(2019年11月28日時点)

※1:共用プールのラックに貯蔵した燃料

※2:2012年に先行して取り出した新燃料2体を含む

資料提供:東京電力ホールディングス(株)

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使用済燃料プールからの燃料取り出し

【1号機】

原子炉建屋を覆う建屋カバーの解体、ガレキ撤去作業時のダスト飛散を抑制するための防風フェンス設置が完了しています。2018年1月より、ペンチおよび吸引装置を用いて使用済燃料プール周辺の東側の小ガレキ撤去作業を先行実施し、7月より南側の小ガレキ撤去が開始されています。現在、使用済燃料プール保護などに向けたガレキ撤去や調査も実施されています。

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「1号機使用済燃料プールからの燃料取り出し」

【2号機】

使用済燃料プール内の燃料取り出しに向け、原子炉建屋最上階(オペレーティングフロア)の調査のため、原子炉建屋の西側に作業部屋の設置、建屋への開口工事が行われ、2018年6月に完了しています。その後、オペレーティングフロア内の調査が行われ、燃料取り出しの工法を検討した結果、ダスト管理や作業被ばくの低減などの観点から、建屋南側に小規模開口を設置し、アクセスする工法が選択されました。今後、詳細設計を進め、燃料取り出し工程の精査が行われます。

【3号機】

大型ガレキの撤去、オペレーティングフロアの除染、遮へい体の設置が完了したほか、2017年1月より燃料取り出し用カバー・燃料取扱設備の設置作業が開始され、2018年2月に完了しています。
燃料取り出しに向けては、燃料取り出し訓練と併せて計画していたガレキ撤去訓練が2019年3月より開始され、4月より燃料取り出しが開始されています。

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「3号機使用済燃料プールからの燃料取り出し」

【4号機(完了)】

2014年12月、すべての燃料の共用プールなどへの移送を完了しています。

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し」

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汚染水対策

溶けて固まった燃料を冷やす水と原子炉建屋に流入した地下水が混ざることで発生している汚染水を減らすための取り組みが行われています。
汚染水対策は、汚染源を「取り除く」、汚染源に水を「近づけない」、汚染水を「漏らさない」という基本方針に沿って進められています。これらの対策により、汚染水発生量は約470㎥/日(2014年度平均)から約170㎥/日(2018年度平均)まで低減されています。

【取り除く】

①多核種除去設備などによる汚染水の浄化

貯蔵タンクに溜めている汚染水から放射性物質を取り除き、浄化が進められています。多核種除去設備(ALPS、Advanced Liquid Processing System)などの複数の設備を使い、ストロンチウムを多く含む高濃度汚染水(RO濃縮塩水)の処理は完了しています。
浄化された水には、トリチウムが含まれているため、その取り扱いは、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会で、技術的観点に加え、風評被害などの社会的影響も含めて、総合的な検討が進められています。

②トレンチ内の高濃度の汚染水の除去

建屋の海側の配管やケーブルなどが収納された地下トンネル(トレンチ)から高濃度汚染水が除去されました。

【近づけない】

③建屋山側の井戸からくみ上げ、海へ排水

建屋内に流れ込む地下水の量を減らすため、建屋山側で地下水をくみ上げ、水質基準を満たしていることを確認したうえで、海へ排水する「地下水バイパス」が運用されています。

④建屋付近の井戸からくみ上げ、海へ排水

建屋付近の地下水位を下げ、建屋内に流れ込む地下水の量を減らすため、建屋まわりの井戸(サブドレン)から地下水をくみ上げて浄化し、水質基準を満たしていることを確認したうえで、港湾内に排水されています。

⑤凍土方式の陸側遮水壁の設置

建屋内への地下水の流入を抑えるため、建屋のまわりに凍土式の遮水壁が設けられました。

⑥雨水の土壌への浸透を抑える敷地舗装

広い範囲の敷地などに、表面遮水対策が実施されました。

【漏らさない】

⑦タンク堰のかさ上げ、二重化

貯蔵タンクまわりの堰のかさ上げが行われました。さらに堰が二重に設置されました。どちらの堰にも溜まった雨水を排水しやすくするためのピットが設置されています。

⑧水ガラスによる地盤改良

放射性物質を含む地下水を海洋に漏らさないため、酸によって中和されて固まる性質がある水ガラスを活用して、護岸の地盤改良が行われています。

⑨海側遮水壁の設置

汚染水を海洋に漏らさないため、海側の護岸に遮水壁が設置されています。設置後、港湾内の放射性物質の濃度は低下傾向が確認されています。

⑩タンクの増設(溶接型タンクへの交換)

横置きタンクやボルト締め型タンクから、漏えいリスクの低い溶接型タンクへ置き換える作業を進め、浄化処理した多核種除去設備等処理水の溶接型タンクへの移送を2019年3月に完了しています。

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「汚染水対策の状況」

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