原子力総合パンフレット Web版

6章 福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた取り組み

廃炉への取り組み
〜汚染水対策、処理水の取り扱い〜

1

汚染水対策の状況

山側から海側へ流れている地下水や破損した建屋から流入する雨水などが原子炉建屋へ流れ込んでいます。その流入した水が燃料デブリに接触し建屋内に溜まっている高濃度の放射性物質を含む水と混ざることで汚染水が新たに発生しています。
汚染水対策は、汚染源を「取り除く」、汚染源に水を「近づけない」、汚染水を「漏らさない」という三つの基本方針に沿って、地下水を安定的に制御するための重層的な対策が進められています。

汚染水対策の三つの基本方針と効果

汚染水対策の三つの基本方針と効果

資料提供:東京電力ホールディングス(株)

2

汚染水の浄化処理

汚染水に含まれる放射性物質によるリスクを低減させるため、浄化処理を行っています。まず、セシウム吸着装置で汚染水に含まれる放射性物質の大部分を占めるセシウムを取り除きます。次に、淡水化装置で塩分を分離させます。この塩分を分離した淡水側の水は、燃料デブリを冷やす水として原子炉内に注水し再利用しています。一方、淡水化装置で分離した塩水側の水は多核種除去設備(ALPS)で浄化処理することによって、トリチウム以外の大部分の放射性核種を取り除いています。

福島第一原子力発電所の汚染水対策

福島第一原子力発電所の汚染水対策

※イメージ

資料提供:東京電力ホールディングス(株)

エネ百科:ニュースでよく聞くあのはなし「処理水」って?

3

タンクへの貯蔵の状況

2021年12月23日現在、敷地内には1,061基のタンクが設置され、約129万トンの水が保管されています。タンクには、セシウムを取り除いた水(ストロンチウム処理水)と多核種除去設備で処理した水(ALPS処理水等)が保管されていますが、ALPS処理水等が全体の99%を占めています。
事故から2年後頃までは、ALPSの設備導入を検討している段階であったため、セシウム以外の放射性物質が除去できていない高濃度汚染水があり、その時期はタンクに貯蔵する際の放射性物質の濃度の基準を下回ることを優先していたため、環境へ処分するための基準を満たしていない処理途上水もタンクに貯蔵されています。これらは、処分するための基準が満たされるまで浄化処理されますが、その間タンクに貯蔵されています(保管中の水の約7割)。

4

ALPS処理水の処分方法

ALPS処理水の処分方法については、政府の小委員会にて風評影響など社会的な観点も含めて検討されてきました。その結果、政府は、福島第一原子力発電所のALPS処理水の処分方法を海洋放出とする方針を2021年4月に決定しました。2年程度の準備期間を経て、安全性の確保と風評対策の徹底を前提に海洋放出を進めることとされています。海洋放出は、国内外で実績があり、確実性が評価されています。
ALPS処理水の海洋放出にあたっては、法令に基づく安全基準などを遵守するだけでなく、放出する水が安全な水であることを放射線影響評価により確実にし、人や環境、農林水産品の安全を確保するとされています。ALPS処理水を環境へ放出する場合は、トリチウム以外の放射性物質が安全に関する国の規制基準を満たすまで、ALPS等で再び浄化処理し、取水した海水と混合し、十分に希釈したうえで行うこととされています。また、トリチウムについては、大量の海水(100倍以上)で希釈し、その濃度を環境へ放出する際の規制基準値(60,000ベクレル/リットル)の40分の1となる1,500ベクレル/リットル未満にすることとなっています。
放出量については、事故前の福島第一原子力発電所の放出管理目標値(年間22兆ベクレル)の範囲内で行いますが、廃炉の進捗等に応じて適宜、見直すこととしています。

処理水ポータルサイト

処理水ポータルサイト

東京電力ホールディングス(株)

汚染水の浄化処理の流れ

福島第一原子力発電所構内の処理水の現状(2020年11月19日現在)

資料提供:東京電力ホールディングス(株)

ALPS処理水の海洋放出の設備の全体像

ALPS処理水の海洋放出の設備の全体像

資料提供:東京電力ホールディングス(株)

エネ百科:ニュースでよく聞くあのはなし「処理水」って?

ワンポイント情報

トリチウムとは

トリチウムは水素の仲間(同位体)で、原子力発電による核分裂や、リチウム6と中性子の反応で発生しますが、自然界では宇宙線と大気中の窒素、酸素が反応することで生じ、主に水の状態で存在しています(降雨中に1~3ベクレル/リットル)。
トリチウムを含む水は、水と同じように新陳代謝などによって排出されるため、人間の体や魚、貝などの海産物に蓄積されることはほとんどなく、生物学的半減期は約10日です。5~6%は有機物に取り込まれ、その生物学的半減期は短いもので40日程度、長いもので1年程度とされています。1ベクレルのトリチウムを飲み込んだ場合の被ばく量は、1ベクレルのセシウム137に比べて、乳児で300分の1、成人で700分の1程度です。

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