原子力発電は、ウラン燃料を一度原子炉に入れると、1年間はその燃料を取り替えずに発電することができ、発電の過程で二酸化炭素を排出しません。

1

安定的な燃料の供給

原子力発電の燃料になるウランも、石油や石炭、天然ガスなどと同様に海外から輸入されています。ウランは、石油や天然ガスにみられるような中東などの特定地域への偏在がなく、世界各地に分布しています。
日本では、長期にわたってウランを安定して確保できるよう、供給国の多様化を図るとともに、それぞれの供給国と長期契約を結んでいます。
また、ウランはエネルギー密度が高く、同じ量の電気をつくるために必要な燃料が、石油や石炭、天然ガスなどに比べて桁違いに少ない量で済みます。このため、輸送や貯蔵が便利であるという特徴もあります。
2020年9月末現在、日本では、国家備蓄と民間備蓄などで約250日分の石油が備蓄されています。
これに対し、原子力発電所では、ウラン燃料を一度、原子炉の中へ入れると、1年間はその燃料を取り替えずに発電することができ、これに燃料加工中のウランも合わせると、ウランの輸入が止まっても約2年運転を継続することができると評価されています。

ウラン資源の埋蔵量(2017年1月現在)

ウラン資源の埋蔵量(2015年1月現在)

(注)四捨五入の関係で合計値が合わない場合がある

出典:NEA-IAEA「Uranium 2018」より作成

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

100万kWの発電所を1年間運転するために必要な燃料

100万kWの発電所を1年間運転するために必要な燃料

出典:資源エネルギー庁HPより作成

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

2

地球温暖化抑制に優れた電源

地球温暖化の原因といわれる温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)やメタン、亜酸化窒素(N2O)などがあり、日本で排出される温室効果ガスの90%以上がCO2となっています。CO2は、主に石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃やすことで発生します。
化石燃料を使う火力発電は、発電の過程でCO2を排出します。一方で、ウラン燃料の核分裂で発生した熱エネルギーを利用する原子力発電は、発電の過程でCO2を排出しません。
原材料の採掘や輸送、発電所の建設・運転などに消費されるエネルギーを含めても、原子力発電によって排出されるCO2は、太陽光発電や風力発電と同様に少なく、地球温暖化防止の観点で優れた発電方法のひとつです。

根拠データ:(一財)電力中央研究所「日本の発電技術のライフサイクルCO2排出量総合評価(2016年7月)」

各種電源別のライフサイクルCO2排出量※1

〈沸騰水型炉(BWR)〉
  • ※1 発電燃料の燃焼に加え、原料の採掘から発電設備などの建設・燃料輸送・精製・運用・保守などのために消費されるすべてのエネルギーを対象としてCO2排出量を算出
  • ※2 原子力については、現在計画中の使用済燃料国内再処理・プルサーマル利用(1回リサイクルを前提)・高レベル放射性廃棄物処分・発電所廃炉などを含めて算出したBWR(19g-CO2/kWh)とPWR(20g-CO2/kWh)の結果を設備容量に基づき平均化

出典:(一財)電力中央研究所「日本の発電技術のライフサイクルCO2排出量総合評価(2016年7月)」

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

3

他の電源と遜色のない経済性

2015年5月、国の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会長期エネルギー需給見通し小委員会発電コスト検証ワーキンググループで各電源の発電コストなどが試算されました。
原子力の発電コストの試算は、設備や運転の維持費、燃料費などの発電原価だけでなく、廃炉や放射性廃棄物の処分を含む核燃料サイクルの費用など、将来発生するコストが含まれています。さらに、損害賠償や除染を含む事故時の対応や電源立地地域対策交付金、高速増殖原型炉「もんじゅ」の研究開発などの経費も織り込まれています。
その結果、原子力の発電コストは、1キロワット時あたり10.1円以上と試算されています。これは、石炭火力の12.3円、LNG火力の13.7円など、ほかの電源と比べても遜色のない水準です。
ただし、このコストは、下限値であり、仮に事故が起きたときの対応費用が1兆円増加すると、1kWh(キロワットアワー)あたり約0.04円ずつ上昇するとされています。
なお、原子力発電は、発電コストに占める燃料費の割合が、火力発電より小さく、燃料価格の変動による影響を受けにくいという特徴をもっています。

専門情報: 経済産業省「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」

各電源の発電コスト(2014年モデルプラント)

各電源の発電コスト(2014年モデルプラント)
  • ※2 2011年の設備利用率は、石炭:80%、LNG:80%、石油:50%、10%
  • ※3 ()内の数値は政策経費を除いた発電コスト
  • ※4 地熱については、その予算関連政策経費は今後の開発拡大のための予算が大部分であり、ほかの電源との比較が難しいが、ここでは、現在計画中のものを加えた合計143万kWで算出した発電量で関連予算を機械的に除した値を記載。
各電源の発電コスト(2014年モデルプラント)

出典:経済産業省「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告(平成27年5月)」

4

原子力施設の事故の影響

これまでに発生した主な原子力施設の事故には、1979年のアメリカ・スリーマイルアイランド原子力発電所の事故や1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原子力発電所の事故、1999年の日本のJCOウラン燃料加工施設の臨界事故、そして、2011年の福島第一原子力発電所の事故などがあります。
これらの事故は、健康や環境、社会的および経済的な影響を及ぼしました。健康への影響とは、被ばくにより国民の生命、健康が損なわれることです。環境への影響とは、放射性物質の放出によって土壌や海洋などが放射性物質で汚染されることです。社会的な影響とは、被ばくを低減するために住民などが避難を余儀なくされることや、放射線による健康影響に対して不安を感じること、農畜産物などの風評被害が発生することです。また、経済的影響とは、放射性物質を除去する除染や損害賠償などで多額の費用がかかることです。
福島第一原子力発電所の事故では、このなかでも社会的、経済的な影響の大きさが衝撃を与えました。

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