現在、日本にある商業用の原子力発電所は、すべて軽水炉で、沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)の二種類に分類されています。

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原子炉の種類

原子炉には、冷却材として軽水(普通の水)を使う軽水炉のほかに、重水を使う重水炉、炭酸ガスやヘリウムガスを使うガス冷却炉などがあります。
日本の商業用の原子力発電所の歴史は、イギリスから導入したガス冷却炉(GCR、Gas-Cooled Reactor)で幕を開けました。その後、ガス冷却炉に比べて、コンパクトで建設費が安く、改良や大型化も期待できる軽水炉へと移行しました。
現在、日本にある商業用の原子力発電所は、すべて軽水炉です。軽水炉は、世界の原子力発電の中心にもなっている原子炉で、沸騰水型原子炉(BWR、Boiling Water Reactor)と加圧水型原子炉(PWR、Pressurized Water Reactor)の二種類に分類されています。
そのほか研究開発用の原子炉として、冷却材にナトリウムを使う高速増殖炉(FBR、Fast Breeder Reactor)があります。

沸騰水型原子炉(BWR)

核分裂によって発生した熱エネルギーを使って蒸気をつくり、蒸気の力で発電用のタービンを回して電気をつくります。

沸騰水型炉(BWR)原子力発電

出典:エネ百科「原子力・エネルギー図面集」より作成

加圧水型原子炉(PWR)

原子炉の中でつくった高温高圧の水を蒸気発生器に送り、原子炉内の水とは別の水を沸騰させて蒸気をつくり、蒸気の力で発電用のタービンを回して電気をつくります。

加圧水型炉(PWR)原子力発電

出典:エネ百科「原子力・エネルギー図面集」より作成

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軽水炉の改良

日本は、軽水炉の安全性や信頼性、運転性などを国内の技術によって向上させ、改良型沸騰水型炉(ABWR、Advanced Boiling Water Reactor)を開発しました。
ABWRは、BWRの原子炉圧力容器の外に設置してある原子炉再循環ポンプを圧力容器の中に設置し、ポンプ回りの配管をなくして単純化した点や、制御棒駆動機構として水圧駆動に電動駆動を加えた点が改良されています。
ABWRは、最新技術と運転経験を踏まえ、数々の優れた設計改良を施し、安全性・信頼性の向上、運転性・保守性の向上、放射線量・放射性廃棄物発生量の低減、経済性の向上などの特長を備えています。
2020年11月末現在、ABWRを採用している発電所は、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機、浜岡原子力発電所5号機、志賀原子力発電所2号機の4基です。さらに、ABWR3基が建設中です。

改良型沸騰水型炉(ABWR)の構造上の特長

改良型沸騰水型炉(ABWR)の構造上の特長

出典:エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

3

高速増殖炉のしくみ

高速増殖炉(FBR、Fast Breeder Reactor)は、冷却材にナトリウムを使用しているため、中性子の速度を落とさず、速度の速い中性子で核分裂連鎖反応を起こすことができます。速度を落とした中性子で核分裂を発生させるより、速度の速い中性子で核分裂を発生させる方が、核分裂で発生する中性子の数が多いという性質があります。
そのため、高速増殖炉では、速度の速い中性子で核分裂させることで中性子の数に余裕ができ、それを核分裂しにくいウラン238に吸収させて、燃料として使えるプルトニウム239を生み出すことができます。
また、高速増殖炉は、炉心のまわりを天然ウラン、または、劣化ウランで囲む構造(ブランケット構造)になっています。そのため、炉心から出る中性子が、ブランケットに含まれるウラン238に吸収され、ウラン238からプルトニウム239への転換が行われます。
このように高速増殖炉は、主にプルトニウムを燃料に発電を行いながら、ウラン238がプルトニウム239に変わる割合を大きくでき、発電で消費した以上のプルトニウム239をつくり出す(増殖する)ことができます。

高速増殖炉(FBR)のしくみ

高速増殖炉(FBR)のしくみ

出典:文部科学省「高速増殖炉もんじゅ研究開発の意義と必要性」より作成

ワンポイント情報

開発が進む次世代原子炉「小型モジュール炉」

世界では原子力分野において、革新的な原子力技術の開発が進められています。注目されているものの一つが、小型モジュール炉(SMR、Small Modular Reactor)とよばれる小型の原子炉です。SMRは、自然条件に左右される現地で組み立てるのではなく、ほとんどを工場で組み立てることができることから、品質の向上と工期の短縮ができ、低コスト化が図れます。
また、原子炉が小型なことから、冷えやすく、冷却機能が失われた場合でも、自然冷却が可能となり、安全性が強化されます。さらに、燃料の交換無しに数十年も運転が可能なものもあり、核物質の取り扱いや輸送を最小限にすることができ、核セキュリティ・核不拡散の観点からも優れています。さらに、大規模なインフラ整備が不要であり、需要規模の小さい地域や未開発地、寒冷地、僻地、離島などでの利用に適しています。SMRは、このようにさまざまな側面で優れており、今後の発展が期待されています。
実用化に向けた開発はアメリカが最も先行しており、2020年9月29日には、ニュースケール・パワー社製SMRに原子力規制委員会から標準設計承認が発給されました。これにより、安全・規制要件をすべて満たしたアメリカ初の標準設計となり、エネルギー省のアイダホ国立研究所の敷地内で、初号機の建設・運転計画が動き出すことになります。2020年代後半の初号機の稼働を目指しています。

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