原子力総合パンフレット Web版

原子力防災

初期対応段階での防護措置

PAZの住民は、異常な量の放射性物質が放出される前に避難を行います。放射性物質が放出された場合は、
緊急時モニタリングの結果などによって、適切な防護措置を実施します。

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緊急事態での予防的防護措置(放射性物質の異常な量の放出前)

原子力発電所の事故によって異常な量の放射性物質が放出される前に、原子力発電所の状況に応じて区分した緊急時活動レベル(EAL)に沿って、予防的に防護措置の準備および実施を行います。
また、原子力発電所からの距離に応じて区分された原子力災害対策重点区域ごとに予防的防護措置が定められています。

【原子力災害対策重点区域】

  • ・原子力発電所から半径おおむね5km 「予防的防護措置を準備する区域(PAZ)」
  • ・原子力発電所から半径おおむね5~30km 「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)」

原子力発電所から近いPAZの住民は、異常な量の放射性物質が放出される前に避難を行います。円滑に避難を行うため、PAZとUPZの地域ごとで段階的に避難を行うこととしています。 高齢者や障害者、乳幼児など、とくに配慮を要する「要配慮者」のうち、早めの防護措置の実施が必要な以下のような住民を「施設敷地緊急事態要避難者」と設定し、一般住民より一段階早く避難を行います。

  • ・避難に通常以上の時間を要する要配慮者
  • ・避難することで、健康リスクが高まらない要配慮者
  • ・安定ヨウ素剤を事前配布されていない者
  • ・安定ヨウ素剤の服用が不適切な者

放射性物質の異常な量の放出前の予防的防護措置

【警戒事態:EAL(AL)】

  • ・PAZの施設敷地緊急事態要避難者は、避難の準備を行い、そのほかの住民は情報収集を行います。
  • ・UPZの住民は、情報収集を行います。

【施設敷地緊急事態:EAL(SE)】

  • ・PAZの施設敷地緊急事態要避難者は避難し、そのほかの住民は避難の準備および安定ヨウ素剤を服用する準備を行います。
  • ・UPZの住民は、屋内退避の準備を行います。

【全面緊急事態:EAL(GE)】

  • ・PAZの住民は、国や地方公共団体からの指示に従い、安定ヨウ素剤を服用し、避難します。
  • ・UPZの住民は、屋内退避を行います。また、避難の準備および安定ヨウ素剤を服用する準備を行います。
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全面緊急事態での防護措置(放射性物質の異常な量の放出後)

緊急事態のうち「全面緊急事態(EAL(GE))」に至り、異常な量の放射性物質が放出された場合には、緊急時モニタリングの結果などによって、適切な防護措置を実施します。

放射性物質の異常な量の放出後の防護措置

UPZの住民が行う防護措置を実施する判断基準として、空間放射線量率や環境中の放射性物質の濃度などで表される「運用上の介入レベル」(OIL:Operational Intervention Level)が設定されています。
これらの基準値は、緊急事態当初に用いられ、地上に沈着した放射性物質の種類が明確になった時点で必要に応じて改定されます。

【OIL6等】

飲食物のスクリーニング結果などで基準値を超えた場合、飲食物の摂取を制限します。

【OIL2】

空間の放射線量が1時間あたり20マイクロシーベルト以上の地域においては、余計な被ばくを避けるため、1週間以内に一時移転します。
さらに、口からの摂取などによる内部からの被ばくを避けるため、地域で生産された物の摂取を制限します。

【OIL1】

空間の放射線量が1時間あたり500マイクロシーベルト以上の地域については、被ばくの影響をできるだけ低減させるため、数時間から1日以内に避難(移動が困難な住民の一時屋内退避を含む)を行います。

【OIL4】

体表面の汚染検査で基準値(入射窓面積が20cm2の放射線検出器を用いて体表面をサーベイした場合にベータ線:40,000cpm)を超えた場合、体表面の除染作業を行います。

ワンポイント情報

OILの基準

福島第一原子力発電所事故の教訓から、原子力防災対策に国際原子力機関(IAEA)の考え方を取り入れました。その一つが「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)」における防護措置実施の基準であるOIL(運用上の介入レベル)です。より原子力発電所に近い「予防的防護措置を準備する区域(PAZ)」では、大量の被ばくはさせない(確定的影響の回避)という考え方で、放射性物質の異常な量の放出前に避難することを原則としています。
OILの考え方のポイントは、あらかじめ判断基準を定めておいて、対策実施の要否を各地区の環境状況(放射線量や汚染の度合い)に応じて、迅速に判断することに重きをおいて設けられたものです。新しい原子力災害対策指針では、IAEAが示すOILの基準値を参考に、福島第一原子力発電所事故の対応例を踏まえて基準値を定めています。

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