原子力総合パンフレット Web版

日本のエネルギー事情と原子力政策

エネルギーミックス
〜環境保全〜

安全性の確保を大前提に安定供給・経済性・環境保全を同時に達成するバランスのとれた
エネルギーミックスを目指すことが重要です。

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環境保全―COP21で採択されたパリ協定

2015年12月にフランスで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、温室効果ガスの排出量の割合が大きいアメリカや中国、インドなどを含めた主要な経済国が参加し、すべての国が2020年以降の削減目標を確定する約束を示す「パリ協定」が採択されました。
世界全体の目標として、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える目標が掲げられました。そして、気候変動に脆弱な国々への配慮から、1.5℃以内に抑える必要があることも言及されています。 また、長期的な目標として、今世紀の後半に、世界全体の温室効果ガスの排出量を、生態系が吸収できる範囲に収める目標が掲げられました。これは、人間が活動する際に排出する温室効果ガスの量を実質的にゼロにするという目標です。
このような長期的な目標に向け、各国では5年ごとに温室効果ガスの排出削減の目標を見直すことになりました。
さらに、各国の目標の遵守を促すため、各国の削減目標に向けた取り組みや他国への支援などの世界全体の状況を把握するしくみが設けられました。

パリ協定-主要排出国の削減目標

パリ協定-主要排出国の削減目標

出典:全国地球温暖化防止活動推進センター資料より作成

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環境保全―温室効果ガス排出の削減目標

COP21で採択された「パリ協定」や国連に提出した「日本の約束草案」を踏まえ、日本の地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するための「地球温暖化対策計画」を2016年5月に閣議決定しています。
この計画では、2030年度に2013年度と比べて26%削減する中期的な目標に対して、取り組むべき対策や国の施策を明らかにし、削減目標の達成へ向けた道筋をつけています。さらに、長期的な目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出量の削減を目指すこととしています。
2015年度の日本の温室効果ガスの総排出量は、13億2,500万トンで2013年度の14億900万トンと比べると、6.0%減少しました。前年度からCO2の排出量が減少した要因は、省エネルギーや気候の状況などによる電力消費量の減少、再生可能エネルギーの導入拡大、原子力発電の再稼働などによってエネルギー起源(燃料の燃焼や電気や熱の使用にともない排出される)のCO2排出量が減少したことなどが挙げられます。
今後、さらに大幅な温室効果ガスの排出削減を進めるためには、徹底した省エネルギーの推進や国民負担の抑制と両立した再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化、安全性が確認された原子力発電の活用などにより、エネルギーミックスを実現させる必要があります。また、技術開発の一層の加速化、生活や働き方の変革などの対策を実行していくとされています。

日本の温室効果ガス排出量と政府目標

日本の温室効果ガス排出量と政府目標

出典:環境省ホームページより作成

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エネルギーミックス

2010年度の電源別発電電力量の割合は、液化天然ガス(LNG)と原子力が29%ずつ、石炭が25%、石油等が8%、水力が9%、地熱および新エネルギーが1%となっていました。
2011年3月の福島第一原子力発電所の事故以降、全国の原子力発電所は順次停止され、2014年度の原子力の割合は0%となりました。
積極的に再生可能エネルギーも導入されていますが、太陽光発電や風力発電は、天候などに左右され、発電出力が不安定のため、電力会社は、安定した電力の供給を確保するため、これまで老朽化により休止していた火力発電所を再稼働させたり、最新の設備に置き換えて発電効率を高めるなど、火力発電を増強して電力がまかなわれています。
これにより、火力発電の割合は、2010年度の62%から、2014年度は88%に増えています。これは、日本のエネルギー供給体制の見直しを行うきっかけとなった、1973年の第一次石油危機当時の化石燃料への依存度(76%)よりも高い数値となっています。
日本は、特定のエネルギーに依存するのではなく、エネルギー資源の安定確保や私たちの生活や経済活動に影響を与える電気料金、地球温暖化への対応などを考慮しながら、バランスのとれた「エネルギーミックス」を目指していくことが重要です。

日本の電源構成別の発電電力量の推移

日本の電源構成別の発電電力量の推移

(注)石油等にはLPG、その他ガスおよび瀝青質混合物を含む。四捨五入の関係で合計値が合わない場合がある
発電電力量は10電力会社の合計値(受電を含む)。1970年度までは9電力会社の合計値。グラフ内の数値は構成比(%)

出典:電気事業連合会調べのデータより作成

関連情報(詳細):日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

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2030年度に向けた政策目標

【一次エネルギー自給率】

国産、準国産のエネルギー源である再生可能エネルギー、原子力を活用することによって、東日本大震災前(約20%)を上回る24%程度に改善します※1

【電力コスト】

再生可能エネルギーの拡大や原子力発電の再稼働、火力の高効率化などにともなう燃料費の削減などによって、現状より2~5%低減される想定となっています※1

【地球温暖化への対応】

発電の過程でCO2を排出しない再生可能エネルギーや原子力の活用と、石炭火力の効率化、LNG火力の活用などによって、2030年度のエネルギー起源のCO2排出量は9.27億トンと、2013年度の総排出量より21.9%減となります※2。その他の温室効果ガス排出削減量や吸収源対策などと合計すると、2013年度比で26%減となり、これは欧米と比べても遜色のない水準です。

専門情報:

※1資源エネルギー庁「長期エネルギー需給見通し(2015年7月)」
※2環境省「地球温暖化対策計画(2016年5月)」

ワンポイント情報

kWとkWh

「kW(キロワット)」と「kWh(キロワットアワー)」は、よく似た単位ですが、その意味合いは異なります。「kW」は電力の単位で、電気エネルギーをつくるスピード(能力)を表します。たとえば、100万kWの発電所は、最大100万kWの電気をつくる能力(発電容量)をもつ発電所という意味です。これに対し「kWh」は、つくられた電気エネルギーの量の単位です。たとえば、100万kWの発電所が最大の発電出力で5時間発電をすれば、100万kW×5hで、発電量は500万kWhとなります。

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