原子力総合パンフレット Web版

1章 日本のエネルギー事情と原子力政策

日本のエネルギー政策
〜2030年、2050年に向けた方針〜

2030年度の電源構成は、LNG火力27%程度、石炭火力26%程度、再生可能エネルギー22〜24%程度、 原子力20〜22%程度、石油火力3%程度を目指しています。

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2030年度に向けた電力の需給見通し

国は、2015年7月に総合資源エネルギー調査会基本政策分科会長期エネルギー需給見通し小委員会で、日本の将来のエネルギー需給の見通しを示しました。電力の需給については、次のような目標を基本方針としています。

【徹底した省エネルギー(節電)の推進】

徹底した省エネルギー(節電)を行い、経済成長があっても2030年度時点の電力需要を2013年度とほぼ同レベルまで抑えます。

【再生可能エネルギーの最大限の導入】

地熱発電や水力発電、バイオマス発電は、自然条件によらず、安定的な運用が可能です。そのため、環境や立地条件などの制約はありますが、可能な限り導入していくとしてます。
また、太陽光発電や風力発電は、自然条件によって発電出力が大きく変動するため、発電出力を調整しやすい火力発電との組み合わせが必要となります。火力発電の燃料費の負担とのバランスを踏まえつつ、最大限導入していくとし、また、高い発電コストを現状よりも引き下げることを目標としています。

【火力発電の効率化と原子力発電の依存度を低減】

石炭火力発電やLNG火力発電は、高効率化を進めつつ、環境への負担を減らすことも考慮しながら活用していきます。また、石油火力発電は、緊急時のバックアップとしての利用も踏まえ、必要最小限の量を確保していきます。
原子力発電については、安全性の確保を大前提として、徹底した省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の拡大、火力発電の高効率化などにより、可能な限り依存度を下げていくこととしています。
このような取り組みの結果、2030年度の電源構成は、LNG火力発電は27%程度、石炭火力発電は26%程度、再生可能エネルギーは22~24%程度、原子力発電は20~22%程度、石油火力発電は3%程度と見込んでいます。

エネルギーミックスの進捗

エネルギーミックスの進捗

出典:経済産業省 資源エネルギー庁資料などより作成

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2030年度に向けた政策目標と現状

【一次エネルギー自給率】

国産、準国産のエネルギー源である再生可能エネルギーや原子力を活用することによって、2017年度は10%となっている一次エネルギー自給率を東日本大震災前(約20%)を上回る24%程度に改善します※1

【電力コスト(燃料費+FIT買取費)】

再生可能エネルギーの拡大や原子力発電の再稼働、火力の高効率化などにともなう燃料費の削減などによって、現状より2~5%低減される想定となっています※1
電力コストは2010年度の5兆円から、震災後の2013年度は9.7兆円に増加しましたが、2017年度は7.4兆円まで下がっています。燃料価格の変動や再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)の買取費の増加により、電力コストは不安定に推移しています。

【地球温暖化への対応】

発電の過程で二酸化炭素(CO2)を排出しない再生可能エネルギーや原子力の活用と、石炭火力の効率化、LNG火力の活用などによって、2030年度のエネルギー起源のCO2排出量は9.27億トンと、2013年度の総排出量より25.0%減となります※2。その他の温室効果ガス排出削減量や吸収源対策などと合計すると、2013年度比で26%減となり、これは欧米と比べても遜色のない水準です。
2013年度の12.4億トンから2017年度には11.1億トンまで減少しています。

【原子力発電の割合】

2030年度に向けた電力の需給見通しで示された原子力の割合(20~22%程度)を達成するためには、設備利用率を70~90%と想定した場合、約3,000~3,500万kWの原子力発電設備容量が必要となります。
2019年9月時点で運転可能な原子力発電所の設備容量は、約3,300万kWですが、営業運転を再開したものは9基で、約900万kWにとどまっています。
また、福島第一原子力発電所の事故を受けて2012年に「運転期間延長認可制度」が導入され、原子炉を運転することができる期間が40年と定められました。その満了までに原子力規制委員会の認可を受けた場合、1回に限り最大20年延長の申請を行うことも認められました。
仮に、すべての既設炉が運転延長した場合、約3,300万kWの設備容量が維持されることとなりますが、2019年9月時点で運転期間延長の認可を受けた原子力発電所以外のすべての既設炉が運転期間を延長せず、40年で閉鎖した場合、2030年度の原子力発電の設備容量は約2,400万kWとなり、2030年度に向けた電力の需給見通しで示された原子力の割合を達成することができません。

専門情報:

※1資源エネルギー庁「長期エネルギー需給見通し(2015年7月)」
※2環境省「地球温暖化対策計画(2016年5月)」

既設炉設備容量の推移見通し(2019年10月2日)

既設炉設備容量の推移見通し(2019年10月2日)

出典:(一財)日本エネルギー経済研究所 資料より作成

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「第5次エネルギー基本計画」のポイント

まず、福島第一原子力発電所の事故をエネルギー政策の原点に置くという姿勢は、第4次エネルギー基本計画と変わらず、一層の安全性向上に努めることとしています。そのうえで、より高度な「S+3E」をエネルギー選択の評価軸とし、2030年、2050年に向けた方針を示しています。
2030年については、徹底した省エネや再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化、原子力発電への依存度の可能な限りの低減といったこれまでの基本的な方針を堅持しつつ、エネルギーミックスの確実な実現を目指します。このような具体的な行動目標を達成すべく、実現重視の直線的取り組みを計画的に進めることとしています。
2050年に向けては、日本が掲げている「2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減する」という高い目標の達成に向けて、「エネルギー転換」を図り、「脱炭素化」への挑戦を進めていきます。2050年という未来は、技術革新が起こることによる大きな変化の可能性が期待される一方で、不確実性もともないます。こうした状況の下では、個別の数値目標を設定したり、単一のシナリオに決め打ちしたりする方法では、刻々と変化する状況に対応できなくなる恐れがあります。そこで、「第5次エネルギー基本計画」では、2050年の目標数値は示さず、野心的なビジョンを実現すべく、多様な選択肢による複線シナリオを機動的に進めることを方針として掲げています。また、最新情報と技術の動向に基づいた科学的なレビューを行うことで、重点をおくべきポイントを決定していくことも掲げました。

2030年単一ターゲットから2050年複数ゴールへ

2030年単一ターゲットから2050年複数ゴールへ

出典:経済産業省 資源エネルギー庁資料などより作成

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