原子力総合パンフレット Web版

2章 原子力開発と発電への利用

原子力発電所の廃止措置と解体廃棄物

原子力発電所の廃止措置にともなって発生する解体廃棄物のうち、大部分は放射性物質として扱う必要がないものです。

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原子力発電所の廃止措置

運転を終了した原子力発電所を解体・撤去し、廃棄物の処理処分と跡地を有効利用するための作業を行うことを「廃止措置」といいます。
運転期間を終えた原子力発電所は、まず使用済燃料を取り出し、化学薬品などを使って、配管や原子炉圧力容器に付着している放射性物質を除去します。その後、5~10年ほど、放射能が弱まるのを待ち、建屋内部の配管や容器などを解体・撤去します。建屋内部の放射性物質を除去したうえで、通常のビルなどと同様に建屋の解体工事を行います。跡地は、引き続き発電所用地として有効利用する予定です。

原子力発電所の廃止措置プロセス

原子力発電所の廃止措置プロセス

運転終了

原子力発電所の廃止措置プロセス

原子力発電所の廃止措置プロセス

使用済燃料の搬出

使用済燃料や未使用の燃料などを、再処理工場や貯蔵施設などに搬出。搬出先において、使用済燃料などは適切に管理・処理。

系統除染「洗う」

系統除染「洗う」

後の解体撤去作業などを行いやすくするために、施設の配管・容器内に残存する放射性物質を、化学薬品などを使って可能な限り除去。

安全貯蔵「待つ」

安全貯蔵「待つ」

適切な管理のもと施設を必要に応じた期間、安全に貯蔵し、放射能の減衰を待ち、後の解体撤去作業などを行いやすくする。

解体撤去(1)「解体する(内部)」

解体撤去(1)「解体する(内部)」

放射性物質を外部に飛散させないように、まず建屋内部の配管・容器などを解体撤去。その後、建屋内の床や壁面などの放射性物質の除去作業を行う。

解体撤去(1)「解体する(内部)」

解体撤去(2)「解体する(建屋)」

建屋内の放射性物質を目標どおり除去したことを確認したうえで、その後は通常のビルなどと同様に建屋の解体作業を行う。
廃棄物は、放射能のレベルにより区分し、それぞれ適切に処理・処分。

※具体的な方法については、状況に応じて事業者が決定し、原子力規制委員会が安全性を確認

廃棄物処理・処分

跡地利用

跡地は、法的な手続きを経て、安全性が確認されれば、さまざまな用途に活用できる。
また現在一つの案として、地域社会との協調を取りながら、引き続き原子力発電用地として有効に利用することも考えられている。

出典:旧原子力安全・保安院「原子力施設の廃止措置」より作成

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

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廃止措置の状況

1996年3月には、当時の日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR、Japan Power Demonstration Reactor)の解体・撤去が完了しました。また、日本原子力発電(株)東海発電所は2001年12月から、中部電力(株)浜岡原子力発電所1、2号機は2009年から廃止措置が進められています。

(2020年11月6日現在)

●廃止措置が進められているもの(廃止措置開始時期)

  • ・日本原子力発電(株)東海発電所(2001年12月)
  • ・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
    新型転換炉「ふげん」(2008年2月)
  • ・中部電力(株)浜岡原子力発電所1、2号機(2009年11月)
  • ・関西電力(株)美浜発電所1、2号機(2017年4月)
  • ・日本原子力発電(株)敦賀発電所1号機(2017年5月)
  • ・九州電力(株)玄海原子力発電所1号機(2017年7月)
  • ・中国電力(株)島根原子力発電所1号機(2017年7月)
  • ・四国電力(株)伊方発電所1号機(2017年9月)
  • ・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
    高速増殖原型炉「もんじゅ」(2018年3月)
  • ・関西電力(株)大飯発電所1、2号機(2020年1月)
  • ・九州電力(株)玄海原子力発電所2号機(2020年6月)
  • ・東北電力(株)女川原子力発電所1号機(2020年7月)

●廃炉が決定したもの(廃炉決定時期)

  • ・東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所
    1、2、3、4号機(2012年4月)
  • ・東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所
    5、6号機(2014年1月)
  • ・四国電力(株)伊方発電所2号機(2018年5月)
  • ・東京電力ホールディングス(株)福島第二原子力発電所
    1、2、3、4号機(2019年9月)

最新情報:(一社)日本原子力産業協会「日本の原子力」

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原子力発電所の解体廃棄物

110万kW級の原子力発電所(BWR)の場合、解体・撤去を行うと、約53.6万トンの解体廃棄物が発生します。このうち約93%(約49.5万トン)は、放射性廃棄物ではなく、ビルの解体と同様のコンクリートや鋼材などです。
また、約5%(約2.8万トン)は、放射能レベルがとても低く、放射性廃棄物として扱う必要のない、クリアランス対象物といわれるものです。これらは、道路路盤材や鉄筋などにリサイクルすることができます。
残りの約2%(約1.3万トン)が、放射性廃棄物です。

廃止措置にともなって発生する廃棄物の量と種類

廃止措置にともなって発生する廃棄物の量と種類 廃止措置にともなって発生する廃棄物の量と種類

出典:旧原子力安全・保安院「原子力施設におけるクリアランス制度の整備について(2004年)」より作成

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

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クリアランス対象物

原子力発電所の運転や解体にともなって発生する放射性廃棄物のうち、放射性物質の放射能レベルが低く、人体の健康への影響がほとんどないものについては、国の認可、確認を経て、リサイクルまたは産業廃棄物として処分することとしています。この制度を「クリアランス制度」といいます。
クリアランス制度では、人体の健康への影響がない放射能レベルの基準「クリアランスレベル」が設けられています。自然界から受ける放射線量の100分の1以下の年間0.01ミリシーベルトに相当する放射能濃度をクリアランスレベルとしています。
実際に日本原子力発電(株)東海発電所の解体工事にともなって発生した金属などは、クリアランス制度に従って再利用されています。

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解体廃棄物の再利用

原子力発電所の解体廃棄物のうち、放射性廃棄物については専用の処分場で処分していきます。それ以外の約98%の廃棄物は、埋設用材や道路路盤材、鉄筋、遮へい材などに再利用していきます。

廃止措置にともなう放射性物質の量の低減

原子力発電所内の放射性物質は、使用済燃料の搬出、また原子炉やその周辺の施設の解体によって大幅に低減していき、その後、自然界と同じくらいの量になります。

廃止措置にともなう放射性物質の量の低減

出典:IAEA(国際原子力機関)資料より作成

世界の廃止措置の状況

世界の廃止措置の状況

出典:IAEA(国際原子力機関)HPより作成

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