原子力総合パンフレット Web版

福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた取り組み

廃止措置を進めるための取り組み

事故で溶け落ちた燃料(燃料デブリ)や、使用済燃料プール内の燃料の取り出し、
そして汚染水対策などが進められています。

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福島第一原子力発電所の課題

2011年12月以降、原子炉を安定して100℃未満に冷却できる「冷温停止状態」を維持しており、原子炉圧力容器底部や原子炉格納容器内などの温度や水素濃度、窒素の封入量、格納容器内の放射能濃度などのパラメータを継続的に監視しています。
発電所内外の空気中の放射性物質は低い濃度を維持しています。また、発電所海域周辺の放射性セシウムの濃度は震災直後と比べて100万分の1まで低減しています。

福島第一原子力発電所の廃止措置へ向けた課題

  • 事故により溶け落ちた燃料(燃料デブリ)の取り出し
  • 地下水の流入により発生する汚染水問題への対策
  • 放射線が高い環境での作業の問題
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燃料デブリの取り出し

1~3号機には、燃料と燃料を覆っていた金属の被覆管などが溶け、冷えて固まった「燃料デブリ」があります。原子炉建屋内は、放射線量がとても高いため、内部に入って作業することが難しい状況です。そこで、ロボットなどを活用して原子炉建屋内の除染や原子炉格納容器の破損状況の確認、燃料デブリの状態の調査が進められています。
燃料デブリの分布を把握するため、宇宙から飛んでくる高い物質透過能力をもった粒子「宇宙線ミュオン」を用いて、原子炉内部の状態を透視する測定も行いました。その結果、1号機では、炉心域に1m程度以上の大きな燃料の塊がないことや、使用済燃料プールに燃料と思われる密度の高い物質が存在していることを確認しました。2号機では、原子炉圧力容器の底部に燃料デブリと考えられる密度の高い物質が存在していることを確認し、シミュレーションとの比較評価から炉心下部および外周域にも若干の燃料が存在していると推定しています。3号機では、炉心域に大きな塊が存在しないことや、原子炉圧力容器の底部に一部燃料デブリが残っている可能性があると評価しています。
今後、原子炉格納容器の内部調査や燃料デブリのサンプリングで得られた情報をもとに、小規模な燃料デブリの取り出しを行います。その後、その実績を踏まえ、段階的に大規模な燃料デブリの取り出しを進めることになります。
燃料デブリの取り出しについては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が2017年8月31日に公表した「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン2017」の燃料デブリ取り出し方針の決定に向けた提言などを踏まえ、以下のような方針が定められました。現在、2021年内に、1〜3号機のうち、初号機の燃料デブリの取り出しを開始することを目指し、取り組みが進められています。

燃料デブリの取り出し方針

燃料デブリの取り出し方針

出典:東京電力ホールディングス(株)HPより作成

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「燃料デブリ取り出しの状況」

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使用済燃料プールからの燃料の取り出し

【1号機】

ガレキ撤去作業時のダスト飛散を抑制するための防風フェンスを設置したほか、原子炉建屋を覆う建屋カバーの解体を完了しています。2018年1月よりオペレーティングフロア(原子炉の上部にある燃料の取り出しや炉内構造物の点検を行うフロア)のガレキ撤去を実施中です。

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「1号機使用済燃料プールからの燃料取り出し」

【2号機】

使用済燃料プール内の燃料取り出しに向け、原子炉建屋の西側の作業部屋と開口部の工事を行い、2018年6月に完了しています。原子炉建屋上部の解体時の放射性物質の飛散抑制対策などを検討するため、オペレーティングフロア内を調査しています。

【3号機】

大型ガレキの撤去、オペレーティングフロアの除染、遮へい体の設置を完了したほか、2017年1月より燃料取り出し用カバー・燃料取扱設備の設置作業を開始し、2018年2月に完了しています。
2018年3月から燃料取扱設備の試運転を開始したものの複数のトラブルが確認されたため、2018年12月を目途に安全点検を実施しています。その安全点検の結果も踏まえ、燃料取り出し工程を精査することとしています。

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「3号機使用済燃料プールからの燃料取り出し」

【4号機(完了)】

すべての燃料の共用プールへの移送を完了しています。

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し」

1〜4号機の状況(2018年10月25日時点)

1〜4号機の状況(2017年10月26日時点)

資料提供:東京電力ホールディングス(株)

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汚染水対策の基本方針

溶けて固まった燃料を冷やす水と原子炉建屋に流入した地下水が混ざることで発生している汚染水を減らすための取り組みが行われています。
汚染水対策は、汚染源を「取り除く」、汚染源に水を「近づけない」、汚染水を「漏らさない」という基本方針に沿って進められています。また、原子炉内の温度などを確認しながら、原子炉への注水量を段階的に減らしています。

【取り除く】

①多核種除去設備などによる汚染水の浄化

貯蔵タンクに溜めている汚染水から放射性物質を取り除き、浄化しています。多核種除去設備(ALPS、Advanced Liquid Processing System)などの複数の設備を使い、ストロンチウムを多く含む高濃度汚染水(RO濃縮塩水)の処理が完了しています。
浄化された水には、トリチウムが含まれているため、その取り扱いは、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会で、技術的観点に加え、風評被害などの社会的影響も含めて、総合的な検討が進められています。とくに、風評被害については、2018年8月に開催された「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会」の結果を踏まえ、検討を深めていくこととされています。

②トレンチ内の高濃度の汚染水の除去

建屋の海側の配管やケーブルなどが収納された地下トンネル(トレンチ)から高濃度汚染水を除去しました。

【近づけない】

③建屋山側の井戸からくみ上げ、海へ排水

建屋内に流れ込む地下水の量を減らすため、建屋山側で地下水をくみ上げ、水質基準を満たしていることを確認したうえで、海へ排水する「地下水バイパス」を運用しています。

④建屋付近の井戸からくみ上げ、海へ排水

建屋付近の地下水位を下げるため、建屋近くの井戸(サブドレン)から地下水をくみ上げて浄化し、水質基準を満たした水のみを港湾内に排水しています。

⑤凍土方式の陸側遮水壁の設置

建屋内への地下水の流入を抑えるため、建屋のまわりに凍土式の遮水壁を設けました。

⑥雨水の土壌への浸透を抑える敷地舗装

広い範囲の敷地などに、表面遮水対策を実施しました。

【漏らさない】

⑦タンク堰のかさ上げ、二重化

汚染水の貯蔵タンクの堰をかさ上げし、さらに外周にも堰を設置しました。どちらの堰にも溜まった雨水を排水しやすくするためのピットを設置しています。

⑧水ガラスによる地盤改良

放射性物質を含む地下水を海洋に漏らさないため、酸によって中和されて固まる性質がある水ガラスを活用して、護岸の地盤改良を行っています。

⑨海側遮水壁の設置

汚染水を海洋に漏らさないため、海側の護岸に遮水壁を設置しています。

⑩タンクの増設(溶接型タンクへの交換)

横置きタンクやボルト締め型タンクから、漏えいリスクの低い溶接型タンクへ置き換える作業を進めています。

専門情報:東京電力ホールディングス(株)「汚染水対策の状況」

福島第一原子力発電所周辺の地下水分布イメージと汚染水対策

福島第一原子力発電所周辺の地下水分布イメージと汚染水対策

出典:東京電力ホールディングス(株)資料より作成

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