原子力総合パンフレット Web版

1章 日本のエネルギー事情と原子力政策

国際的な原子力平和利用と核の拡散防止への貢献

1

国際的な原子力の平和利用

福島第一原子力発電所の事故後も、エネルギー需要の拡大や地球温暖化対策の観点から、原子力発電の拡充や新しい発電所の導入を計画する国が増加しています。
特に、アジア諸国では、産業の発展や生活の向上など、急速な経済成長にともなって増加する電力需要をまかなうため、原子力の導入が進められています。アラブ首長国連邦では2021年5月にバラカ発電所1号機が営業運転、8月に2号機が起動しました。さらに、トルコやインドネシアなどでも新規建設が計画され、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ、一層の安全性向上に取り組む日本には海外の原子力開発への貢献に期待が寄せられています。
しかし、原子力関連の技術や機材、核物質は、軍事転用につながる心配や、一国の事故が周辺諸国にも大きな影響を与えてしまう可能性があるため、原子力の平和利用については、「核不拡散(Safeguards)」、「原子力安全:原子力事故の防止に向けた安全性の確保(Safety)」、「核セキュリティ:核テロリズムの危険への対応(Security)」の3Sの確保が重要とされています。

専門情報:
外務省「核軍縮・不拡散」
外務省「原子力の平和的利用」

原子力の平和利用と核物質防護

原子力の平和利用と核物質防護

出典:原子力・エネルギー図面集

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

ワンポイント情報

世界の原子力発電「発電量実績と建設中の発電設備容量」

2020年における原子力発電の発電量実績を見ると、上位からアメリカ、中国、フランス、ロシア、韓国となっています。中国がフランスを抜いて、トップ2となりました。
また、建設中の原子力発電設備容量でも、圧倒的に中国が多くなっています。韓国、そしてインド、ロシアと続きますが、人口が多く今後のエネルギー需要増が見込まれるインドがトップ3に入っています。

世界の原子力発電発電量(2020年)

出典:Energy, Electricity and Nuclear Power Estimates for the Period up to 2050, Reference Data Series No.1, 2021 Edition

建設中の原子力発電設備容量(2021年)

出典:Power Reactor Information System, Under Construction Reactors

2

IAEAの保障措置

国際原子力機関(IAEA、International Atomic Energy Agency)では、各国の原子力の平和利用の活動が、軍事目的に転用されていないことを監視し、転用があった場合は、速やかにそれを検知する「国際保障措置」という活動を行っています。
国際保障措置では、各国の核物質の在庫や変動を計る「計量管理」や「封じ込め/監視」をはじめ、各国の報告に基づき、実際に査察官が原子力施設に立ち入る「査察」などが行われています。日本は、すべての原子力施設の核物質について、この国際保障措置を受け入れています。
日本は、IAEAの国際保障措置の強化・効率化に積極的に対応した結果、申告された核物質の転用を示す兆候や未申告の核物質および原子力活動を示す兆候もないため、「すべての核物質が平和的な活動のなかにとどまっている」との評価を2004年に得ました。その結果、査察を無通告で実施することなどにより、査察の回数の削減などの統合保障措置が適用されてきています。

IAEAの保障措置

IAEAの保障措置
3

二国間原子力協力協定

原子力の平和利用の推進と核不拡散などの観点で、核物質や原子炉などの主要な原子力関連の技術や機材を移転する際に、移転先の国から平和利用などに関する法的な保証を取り付けるために二国間原子力協力協定を締結しています。
日本は、これまでに、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、フランス、中国、欧州原子力共同体(EURATOM、European Atomic Energy Community)、カザフスタン、韓国、ベトナム、ヨルダン、ロシア、アラブ首長国連邦、トルコ、インドと原子力協力協定を締結してきました。
今後も、諸外国が日本の原子力技術を活用したいと希望する場合、日本は、「二国間原子力協力」のもと、核の拡散防止や原子力の平和利用などを確保しながら、相手国に技術を提供していくことになります。

4

核兵器不拡散条約(NPT)

破滅的な核戦争の危険を回避するため、核兵器そのものとその生産に必要とされる物資・機材の移転を禁止する条約(核兵器不拡散条約:NPT、Non Proliferation Treaty)が、1968年7月1日に署名開放され、1970年3月5日に発効されました。日本は、1970年2月に署名し、1976年6月に批准しています。2020年1月現在、締約国は191か国・地域、非締約国はインド、パキスタン、イスラエル、南スーダンとなっています。

5

核セキュリティ強化への貢献

捜査当局によって押収、採取された核物質の組成や物理・化学的形態などを分析し、その物質の出所や輸送経路などを分析・解析する技術を「核鑑識」といいます。核鑑識技術により、テロなどで使用された核物質の起源や犯人を特定し、刑事訴追できる可能性を高めることで、核テロなどを抑止する効果があります。
日本は、核鑑識技術を確立し、これを国際社会と共有することにより、国際的な核セキュリティ体制の強化に貢献しています。

ワンポイント情報

日米原子力協力協定

日本の原子力開発は、アメリカの協力を通じて進められてきました。1955年にアメリカから日本へ濃縮ウランを貸与するための日米原子力研究協定が調印され、日本に初めて研究用の原子炉が導入されました。1958年には、日米動力協定が調印され、研究用の動力試験炉(JPDR)に必要な濃縮ウランの供与が約束されました。この協定は1958年、1963年に改正され、協力の範囲を商業用軽水炉の導入まで拡大されています。
現在の日米原子力協力協定は、1988年7月に発効され、原子力の平和利用や核不拡散、核セキュリティの確保などを国際的に確保しながら原子力を利用する体制を強化するために重要な役割を担ってきました。2018年7月17日に30年の有効期間を迎えましたが、日米双方から通告がなかったため、自動延長されました。今後は有効期間は設けず、日米いずれかが文書で通告すると、その6か月後に終了することになっています。

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日本のエネルギー選択の歴史と原子力

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〈参考〉世界の原子力発電の状況

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