原子力総合パンフレット Web版

原子力防災

原子力防災体制と原子力災害対策指針

原子力災害対策指針では、緊急事態における原子力施設周辺の住民などに対する放射線の影響を
最小限に抑えるための防護措置などが定められています。

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原子力災害の特徴

原子力災害とは、原子力施設の事故により、放射性物質が放出され、原子力施設の周辺地域の住民や環境などに直接または間接的に被害を与えることです。
地震や風水害、火災などの一般災害と異なり、原子力災害は、人間の五感では感じることができない放射性物質や放射線に関して対策を講じる必要があります。
そのため、国や地方公共団体などは、モニタリングポストなどで測定された大気中の放射線量などの実測値に基づき、住民の被ばくを避けるためにとる行動(防護措置)の実施を判断していきます。
なお、原子力災害時の住民への情報連絡、屋内退避や避難、被災者の生活に対する支援などは、一般災害と共通する点が多いため、原子力災害は一般的な災害対策と連携して対応していくことが重要です。

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事故を教訓にした新しい原子力防災体制

福島第一原子力発電所事故の教訓と経験を踏まえ、2012年9月、原子力基本法や内閣府設置法、原子力災害対策特別措置法などの関連法令の改正により、原子力防災体制が見直されました。

【平時の原子力防災体制】

  • ・政府全体で原子力防災対策を進めるため、内閣には、平時から内閣総理大臣を議長とする「原子力防災会議」が設けられています。
  • ・緊急時に対応する人員の配置や手順などを定めた「原子力災害対策マニュアル」が、原子力防災会議幹事会で承認されています。

【緊急時の原子力防災体制】

  • ・原子力災害が発生した場合には、総理大臣官邸内に内閣総理大臣を本部長とする「原子力災害対策本部」が設置されます。
  • ・副本部長は、原子力規制委員会委員長が担い、安全に係る技術や専門的な事項の判断については、原子力規制委員会が担当します。

【モニタリング・連絡体制など】

  • ・緊急時における環境放射線モニタリングの体制強化や事前の準備などを行うため、地方放射線モニタリング対策官事務所を設置しています。
  • ・国や地方公共団体、事業者の間で、確実な連絡ができるように、テレビ会議や衛星による通信などのシステムが整備されています。

原子力防災体制

原子力防災体制

※ 原子力事業者や地方公共団体などによる原子力災害予防対策や緊急事態応急対策および事後対策の円滑な実施を確保するための指針で、原子力規制委員会が作成する指針

出典:首相官邸ホームページより作成

関連情報(詳細):日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

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原子力災害対策指針

原子力災害対策特別措置法では、原子力規制委員会が「原子力災害対策指針」を定めることとしています。
これまでの原子力防災は、原子力安全委員会(当時)が策定した「原子力施設等の防災対策について」によって示されていました。しかし、福島第一原子力発電所事故により、多くの問題点があることが明らかになりました。原子力安全委員会は、事故を踏まえ「原子力施設等の防災対策について」を見直すための検討を行いました。
さらに、事故後にまとめられた国会や政府、民間の各事故調査委員会の報告書では、多くの課題が指摘されました。例えば、住民などの視点を踏まえた対応の欠如、複合災害や原子力施設の過酷事故への対策を含む教育や訓練の不足が挙げられました。また、緊急時に対応する意思決定の不明確さ、住民に情報を提供する体制や避難計画、資機材などの不備などに関して見直しが提言されました。
原子力規制委員会では、これらの課題や提言を考慮し、2012年10月31日に「原子力災害対策指針」を策定しました。これまでに6回の改正が行われています。
原子力災害時、国民の生命および身体の安全を確保することが最も重要です。そのため、原子力災害対策指針では、緊急事態における原子力施設周辺の住民などに対する放射線の影響を最小限に抑えるための防護措置などが定められています。
また、事業者や国、地方公共団体などは、平常時から緊急時の原子力災害対策に関する計画を整備し、訓練することが求められています。原子力災害対策指針では、その計画の策定などで求められる科学的、客観的な判断を支援するため、原子力災害対策に関する専門的、技術的な事項について定められています。

根拠法令:原子力規制委員会「原子力災害対策に関する指針等」

原子力災害対策指針の基本的な考え方

  • ・ 住民の視点に立った防災計画を策定すること
  • ・ 継続的に情報を提供できる体系を構築すること
  • ・ 最新の国際的な知見も取り入れ、計画の立案に使用する判断の基準を常に最適なものになるように見直すこと
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地域防災計画の作成

地域防災計画は、災害対策基本法において、地域の実情をよく把握している地方公共団体で作成することとされています。一般の災害と同様に原子力災害が起きたときも、地方公共団体だけでなく、国や公共機関、地域住民、学校、病院などがそれぞれの役割を担うことが不可欠です。
とくに、原子力災害については、原子力災害対策指針に基づき、原子力災害対策重点区域に設定された都道府県および市町村(原子力災害対策重点区域と緊急事態の区分 参照)で、原子力施設を中心にした広域避難計画の作成や防災資材の整備を行うこととされています。
国は、地域防災計画(原子力災害対策編)のひな型として、原子力災害対策マニュアルを各地方公共団体に提供しています。また、内閣府(原子力防災担当)は、原子力発電所が立地する13地域に、国や地方公共団体などを構成員とする「地域原子力防災協議会」を設置し、地域の防災計画や避難計画などの具体化・充実化を支援しています。
原子力災害の地域防災計画を作成する必要のある地域は、21道府県、135市町村です。2017年3月末現在、21道府県、132市町村で地域防災計画が策定済みとなっています。

専門情報:日本原子力研究開発機構「47都道府県の地域防災計画における原子力防災について」

地域防災計画・避難計画の策定と支援体制

地域防災計画・避難計画の策定と支援体制

出典:内閣府ホームページを参考に作成

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