原子力総合パンフレット Web版

1章 日本のエネルギー事情と原子力政策

エネルギーの安定供給の確保

1

エネルギー資源の安定確保

エネルギーを安定的に、必要な量を低廉な価格で確保することを「エネルギー安全保障」といいます。すべての国民にとって、この状態を継続的に維持することが非常に重要です。
日本のエネルギー自給率(2020年)は、原子力を国産とした場合でも11.2%しかありません。これは、先進国のなかでも極めて低い水準となっています。日本のエネルギー自給率が低い理由としては、石油・石炭・天然ガスといった資源に乏しいことが主な原因です。エネルギー自給率がロシア、カナダ、ブラジルのように100%を超える国は、自国内で一次エネルギーを確保できているだけでなく、他国へ輸出していることを意味しています。
陸続きのヨーロッパ諸国では、国境を越えて送電線や天然ガスのパイプラインが張り巡らされているため、自国で電力を安定的に供給することができなくなった場合でも、発電容量の大きい周辺国との間で電力の輸出入が行われています。
これに対し、島国の日本は、周辺国とのエネルギーの融通は難しいのが現状です。資源小国で島国の日本にとって、エネルギー資源を安定して、かつ経済的に確保していくことは、国家の基盤にかかわる重要な問題です。

関連情報(詳細):エネ百科「ニュースでよく聞くあのはなし/知ってほしい!日本のエネルギーの特殊な事情」

主要国のエネルギー自給率比較(2019年)

主要国のエネルギー自給率比較(2019年)
  • ※原子力を国産とした場合の数値となっている。原子力発電の燃料となるウランは、一度輸入すると長時間使用することができ、再処理してリサイクルすることも可能なため、準国産エネルギーとして扱われる。
  • ※100%以上は輸出していることを表す。

出典:IEA「Data and statistics」より作成

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

日本のエネルギー自給率の推移

日本のエネルギー自給率の推移

エネルギー自給率:生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、国内で確保できる比率

出典:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2020年速報値

日本の一次エネルギー供給実績

日本の一次エネルギー供給実績

(注)1PJ(=1015J)は原油約25,800kℓの熱量に相当(PJ:ペタジュール)
「総合エネルギー統計」は、1990年度以降の数値について算出方法が変更されている

出典:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」より作成

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

2

エネルギー供給のリスク

現在、石炭はオーストラリアやロシア、インドネシアなどから、天然ガスはオーストラリアや東南アジア、中東、ロシアなどから輸入していますが、石油は依然として90%以上を中東からの輸入に頼っています。
石油や天然ガスの輸入価格は、輸入する相手国の政治情勢や生産調整などによって大幅に変動するため、日本の経済は影響を大きく受けやすくなっています。
特に、中東からホルムズ海峡、マラッカ海峡を通って、石油や天然ガスを日本へ運ぶ海路(シーレーン)の安全通行の確保がエネルギー安全保障上の重要な問題となっています。ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾の間にあり、世界で最も多くの原油が通る重要な輸送路です。
このホルムズ海峡において、2019年に二隻のタンカーが攻撃を受ける出来事が起こりました。このように船舶の安全航行ができない状況や海峡の封鎖などが発生すると、9割以上の石油や約2割の天然ガスを中東に依存している日本にとっては、ガソリンや電気などの料金の上昇、それらの供給停止などの深刻な影響を受ける可能性があります。

日本が輸入する化石燃料の相手国別比率

日本が輸入する化石燃料の相手国別比率
原油
原油
石炭
石炭
天然ガス
天然ガス

(注)四捨五入の関係で合計値が合わない場合がある

出典:※1 石油連盟統計資料、※2 財務省貿易統計より作成

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

石油や天然ガスを運ぶ海路(シーレーン)

石油や天然ガスを運ぶ海路(シーレーン)
3

国際資源戦略の策定

エネルギー資源の多くを海外から輸入している日本は、エネルギーを巡る世界の動きに大きな影響を受けます。こうした状況を踏まえ、エネルギーの安定供給を確保するために、2020年3月、日本の新しい「国際資源戦略」が策定されました。
これまで中東諸国との関係は、複数のエネルギー関連機関などが個別に構築されていましたが、今後は諸機関が連携し、一体となって構築されることになりました。
また、地政学リスクを踏まえ、石油は中東以外の国々へ、LNGや先端産業において必要不可欠なレアメタルなどは、調達先が特定の国や地域に偏らないよう多角化させることが決められました。さらに、アジア全域での協力関係を深め、日本の石油備蓄を活用して、アジアのエネルギーセキュリティ向上につなげていくこととしています。経済成長が著しいアジア各国では、石油消費量が急増しています。しかし、多くの国では原油の輸入を中東に依存しているうえに、十分な備蓄を保有しておらず、セキュリティ対策が万全とはいえません。
こうしたことから、今後は、日本のための資源を確保するだけでなく、エネルギーセキュリティの維持・向上を図るために世界的な視野で対応を行うことが必要です。

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日本のエネルギー選択の歴史と原子力

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日本のエネルギー政策〜各電源の位置づけと特徴〜

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日本のエネルギー政策〜2030年、2050年に向けた方針〜

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〈参考〉世界の原子力発電の状況

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