原子力総合パンフレット Web版

1章 日本のエネルギー事情と原子力政策

エネルギーの経済効率性と価格安定

1

電気料金の変化

2011年以降、原子力発電の停止にともなう火力発電の利用の増加によって、火力発電の燃料となる石油や石炭、天然ガスなどの輸入額が増えました。こうした燃料価格の高騰に加え、固定価格買取制度による再生可能エネルギー導入の賦課金の上昇によって、電気料金が上がっています。
2014年度の家庭の電気料金は2010年度と比べ、約25%上昇し、家計へ影響を与えました。産業用の電気料金は、約38%上昇し、中小企業などの経営を圧迫しました。2014年度以降は大幅な原油価格の下落などの影響により低下しましたが、2020年度の電気料金は、2010年度と比べて、家庭用は約14%、産業用は約15%高い状況です。為替の影響もあるため、単純な比較は困難ですが、国際比較すると、日本の電気料金は決して低い水準にあるとはいえません。電気料金の値上げは、家計へはもちろんのこと、国際競争にさらされている日本企業などへの悪影響があることも懸念されます。

過去の原油価格下落局面と現在の状況

過去の原油価格下落局面と現在の状況

出典:CME日経、財務省貿易統計を基に作成

2

電気料金変動の要因

電気料金には、「燃料調整額」という項目があり、これには火力発電に必要な原油などの価格や原油、石炭、天然ガスなどを日本まで輸送してくるための費用が含まれています。この「燃料調整額」の変動は、電気料金が変動する要因の一つです。
再生可能エネルギーで発電した電気の買取価格の一部を国民が負担する「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」も変動の要因となっています。2016年度以降、原油価格や再エネ賦課金単価の上昇が重なり、電気料金の上昇が続いていましたが、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、原油価格の下落や石炭、LNGなどの輸入価格が低水準に推移したことにより、2020年6月以降の電気料金は一時的に値下がりしています。

固定価格買取制度導入後の賦課金などの推移

固定価格買取制度導入後の賦課金などの推移

出典:資源エネルギー庁HPより作成

電気料金の推移

電気料金の推移

※電灯料金は、主に一般家庭部門における電気料金の平均単価
電力料金は、自由化対象需要家分を含み、主に工場、オフィス等に対する電気料金の平均単価
平均単価は、電灯料収入、電力料収入をそれぞれ電灯、電力の販売電力量(kWh)で除したもの

※大手電力(旧一般電気事業者)の電気料金平均単価

出典:資源エネルギー庁資料より作成

3

電気料金の抑制と安定の課題

今後、日本ではエネルギー自給率を高めて国際原油価格の動向に左右されにくい電源構成としていくとともに、電力小売りの全面自由化による事業者間の競争や、原子力発電の再稼働、再エネコストの低減などにより電気料金の抑制に取り組むとしています。
また、再生可能エネルギーの導入をさらに進めていくためには、賦課金の上昇による国民負担をできるだけ抑えていくことが重要です。そこで、2022年4月より、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せするFIP制度(Feed-in Premium制度)」を開始し、再エネ導入を促進します。
そして、電気料金の抑制という面においても、効率的に安定供給を確保できるような環境を整備することが重要です。2021年1月の電力需給ひっ迫において、LNG火力発電への依存度の高まりを背景に、LNGの在庫減少と燃料調達制約が電力供給に大きく影響したことが明らかになり、競争力のある安定電源の重要性が改めて浮き彫りとなりました。こうした状況を踏まえ、カーボンニュートラル安定供給を両立するような、適切な電源構成を考える必要があります。CO2を排出しない再生可能エネルギーの割合を高めることに加えて、エネルギー価格高騰などを背景に、安定した供給源である原子力発電の利用に対する期待が欧米などで広がってきています。また、低炭素経済への移行期については、LNG火力発電の必要性についても指摘がなされています。

2020年12月~2021年1月の需給ひっ迫・市場価格高騰

2020年12月~2021年1月の需給ひっ迫・市場価格高騰

※10月実施の冬期需給検証では、厳気象にも対応できる予備率確保を確認(※kW評価)

出典:資源エネルギー庁資料HP

電力需給ひっ迫と市場価格の高騰の要因

電力需給ひっ迫と市場価格の高騰の要因

出典:資源エネルギー庁資料HP

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日本のエネルギー選択の歴史と原子力

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